1枚の切手に50万円(!)

切手商

新宿切手センター(エピソードと写真は無関係です)

私(筆者)が中学生の頃、切手屋さんの店頭で大きな商談を目の当たりにしたことがありました。中年の男の人が背広の胸ポケットから銀行の紙袋を 取り出して、スっと店主に渡したのです。店主は少し神妙な顔つきで、ざっと50万円くらいのお札を手早く数え上げていました。わずか数分の出来事でしたが、とても真剣な表情だったのが、強烈な印象に残りました。

「本当に50万円分の珍しさがあるの?」「なんで切手に50万円も出すの?」「50万円で買って、50万円分楽しいの?」。切手少年だった私にも、いろんな疑問が湧いてきましたが、よく分からないまま、何か見てはいけないものを見てしまったような気になりながら、 家に帰ったのを今でも覚えています。
渋谷切手商

渋谷・宮益坂の切手商「日郵コイン」の店頭で談笑する店員さん(右)と筆者(左)。2013年10月撮影。

切手収集の魅力その1 「手軽さ」

切手の中には、1,000万円、1億円以上で取引きされる非常に高価なものもありますが、やはり全体としてはごく稀な事例です。実際に現在取引きされている切手の大半が1枚あたり100円以下のものになります。切手はアンティークコレクションの中では、かなり手軽な部類に入り、その人の経済力や年齢に関わらず、誰でも切手収集を楽しむことができます。

実際に使用済の安価な切手であれば、例えば1枚10円から30円くらいの切手がよく売れますし、200g(約1,000枚分)で1,000円といった具合に、まるで夕食のお肉を買うような感覚で量り売りされるものもあり、それでも充分に楽しむことができます。整理して保管すれば、場所もあまりとらないので、そのあたりも魅力の1つです。
安価な切手

1枚10円~30円ほどで入手した日本切手とヨーロッパ切手を整理したもの。

次ページでは2つ目の魅力についてお話します。