色褪せる事の無いロック史上大きな影響力のある作品
■アルバム名マーキー・ムーン
■バンド名
テレヴィジョン
■おすすめ理由
一般的にパンク・ロックと言えば、ロンドンを中心にセックス・ピストルズやダムド、クラッシュといったバンドが反体制的な歌詞と攻撃的なビートを鳴らした音楽という見解をしますが、本来のパンクは全く違った様相でした。
アンダーグラウンドな音楽に変わりはないけど、技量の高さ、美的感覚やインテリジェンスな香りを持ったニューヨークの最新音楽だったのです。
平凡な名前である事を嫌ったトーマス・ミラーという男が、フェヴァリットの詩人であるポール・ヴェルレーヌにちなんで、トム・ヴァーラインと名乗り、そのイニシャルである「TV」、すなわちテレヴィジョンを結成しデヴューしたのは1977年の事でした。
「マーキー・ムーン」はニューヨーク発信の新しい音楽形態「パンク・ロック」の先駆的存在感を持った、ロック史上大きな影響力のある作品です。
トムとリチャード・ロイドの二人が弾くギターの絡みが絶妙で、パンクというよりも、その後にカテゴライズ化される「ニュー・ウェーヴ」の響きに相当するものがあり、10分に及ぶ長尺な作品も目立ちます。
文学性と知性、そして演奏の的確さは、時代を経てもまったく色褪せる事が無く、パンク発祥の名盤として挙げられます。
バンドは2枚のアルバムを出して一旦解散しますが、1992年と2001年に再結成し現在に至っています。
元ニューヨーク・ドールズのジョニー・サンダース、ジェリー・ノーランらとともにハートブレイカーズを結成し、その後ヴォイドイズを結成したリチャード・ヘルやパティ・スミスもメンバー及び周辺に関わり、各々現在も一線で活躍しています。