農家の常識は社会の非常識
■作品名百姓貴族
■作者名
荒川弘
■連載雑誌
ウィングス
■おすすめの理由
「銀の匙」を連載中の作家・荒川弘の農家時代の体験をおもしろおかしく描いたエッセイ漫画です。
「銀の匙」のように漫画らしくストーリーに仕立てていないので、よりリアルな農家の姿と、
作者の生き方・考え方を垣間見ることができます。
実家が農業を営んでいる自分としては、もう「わかるわかる!」の連続でした。
(現場と国の考えのくい違いっぷりや悶々としたジレンマとか……。)
作者の死生観や女性の生き方は、農家時代の体験からきているようです。
人の手で命を量産・もしくは意図的に減らすことや、逆に人の力ではどうにもならない運命や自然を体験していると、ありのままを受け入れるというか、シビアな死生観が身につくようです。
普通の生活ではなかなか得られない経験なので、作者の考えに新鮮な感覚を覚える人も多いのではないでしょうか。
また、妊娠・出産を経験している作者ですが、その期間中、休載は一度もなかったそうです。
作者の漫画はたくましい女性がたくさんでてきますが、本人もたくましすぎます…。
この本を読んでから過去作「鋼の錬金術師」を読むと、またいろんな発見があるかと思います。