不動産売買の法律・制度/ガイド:平野の私的不動産用語集

元付業者と客付業者

「元付業者と客付業者」についての用語解説です。中古住宅などの売買における媒介業者の役割と立場の違いをしっかりと理解しておきましょう。(2013年改訂版、初出:2006年8月)

執筆者:平野 雅之


元付業者と客付業者

【もとづけぎょうしゃときゃくづけぎょうしゃ】

中古物件などの売買では、売主側と買主側のそれぞれに媒介業者が入るケースが多い。このとき、売主から売却の依頼(専任媒介、専属専任媒介、一般媒介)を受けた業者のことを「元付業者」といい、これに対して買主を見つけた業者のことを「客付業者」という。

「元付業者」は売主のための業務を行ない、「客付業者」はもちろん買主のための業務を行なうわけだが、互いに反する利益(売主は少しでも高く売りたいし、買主は少しでも安く買いたい)を調整し、共通の目的(売買契約の締結)に向けて双方の業者が協力しながら媒介業務を遂行することになる。

しかし、「元付専門業者」とか「客付専門業者」とかがあるわけではなく、物件によってその立場が逆に入れ替わったり、ひとつの業者が「元付業者」と「客付業者」とを兼ねる場合もある。売主と買主との間を1社で媒介すれば、契約や決済の段取りもスムーズで、伝達事項もすんなりと相手に伝わりやすいのだが、トラブルになりそうな行き違いが生じたときや実際にトラブルが生じたとき、完全に中立な立場を貫くのが難しく、売主寄りの対応をしてしまう業者も多い。

売主と買主の双方から手数料を得ることを目的として1社だけで媒介しようとする場合も多く見られるが、買主にとっていざというときのリスクが大きい形態であることを覚えておきたい。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます