元付業者と客付業者
【もとづけぎょうしゃときゃくづけぎょうしゃ】中古物件などの売買では、売主側と買主側のそれぞれに媒介業者が入るケースが多い。このとき、売主から売却の依頼(専任媒介、専属専任媒介、一般媒介)を受けた業者のことを「元付業者」といい、これに対して買主を見つけた業者のことを「客付業者」という。
「元付業者」は売主のための業務を行ない、「客付業者」はもちろん買主のための業務を行なうわけだが、互いに反する利益(売主は少しでも高く売りたいし、買主は少しでも安く買いたい)を調整し、共通の目的(売買契約の締結)に向けて双方の業者が協力しながら媒介業務を遂行することになる。
しかし、「元付専門業者」とか「客付専門業者」とかがあるわけではなく、物件によってその立場が逆に入れ替わったり、ひとつの業者が「元付業者」と「客付業者」とを兼ねる場合もある。売主と買主との間を1社で媒介すれば、契約や決済の段取りもスムーズで、伝達事項もすんなりと相手に伝わりやすいのだが、トラブルになりそうな行き違いが生じたときや実際にトラブルが生じたとき、完全に中立な立場を貫くのが難しく、売主寄りの対応をしてしまう業者も多い。
売主と買主の双方から手数料を得ることを目的として1社だけで媒介しようとする場合も多く見られるが、買主にとっていざというときのリスクが大きい形態であることを覚えておきたい。