「知らずに意味を取り違えている言葉」
慣用句などの意味を取り違えて使ってしまうことは、相手に言いたいことが逆に伝わってしまうことにもなりかねません
文化庁の『平成24年度国語に関する世論調査』でも、「流れに棹さす」の正解率は23.4%、不正解率は59.4%というように、誤答が本来の意味を表す回答を上回った調査結果が出ています。
普段から耳にしたり、使用したりしているこれらの言葉をどのぐらい正しく理解できているか、以下の問いで見直してみましょう。
(『文化庁平成24年度国語に関する世論調査』より4問)
次の問は、どちらの意味か? どちらの言い方を使うか? 改めて確認してみましょう。
問「役不足」
A.本人の力量に対して役目が重すぎること
B.本人の力量に対して役目が軽すぎること
問「気が置けない」
A.相手に対して気配りや遠慮をしなくてよい
B.相手に対して気配りや遠慮をしなくてはならない
問「潮時」
A.ちょうどいい時期
B.ものごとの終わり
問「噴飯もの」
A.腹立たしくて仕方ないこと
B.おかしくてたまらないこと
では、回答と割合(正解・不正解率)を見てみましょう。
問「役不足」
× A 本人の力量に対して役目が重すぎること・・・・・・51.0%
○ B 本人の力量に対して役目が軽すぎること・・・・・・41.6%
問「気が置けない」
○ A 相手に対して気配りや遠慮をしなくてよい・・・・・42.7%
× B 相手に対して気配りや遠慮をしなくてはならない・・47.6%
問「潮時」
○ A ちょうどいい時期・・・・・・・・・・・・・・・・60.0%
× B ものごとの終わり・・・・・・・・・・・・・・・・36.1%
問「噴飯もの」
× A 腹立たしくて仕方ないこと・・・・・・・・・・・・49.0%
○ B おかしくてたまらないこと・・・・・・・・・・・・19.7%
(『文化庁平成24年度国語に関する世論調査』より %は各正解・不正解率)
いかがでしょうか? うっかり知らずに間違えている言葉もあるかもしれません。
では、最後に以下の問いは○×どちらでしょうか?
問1「合格者、不合格者、悲喜こもごもの風景です」問2「あまりのことに腹が煮えくり返る思いだ 」
問3「焼けぼっくいに火が付いた」
正解は下記のとおりです。
問1「合格者、不合格者、悲喜こもごもの風景です」 ×
「悲喜こもごも」とは、ひとりの人の喜びや悲しみ、または幸、不幸を表す言葉です。ですから、喜んだり、悲しんだりしている大勢の人がいる様子ではありません。
問2「あまりのことに腹が煮えくり返る思いだ 」 ×
正しくは「腹」ではなく、「腸」で、「腸が煮えくり返る」が正解。
非常に腹が立つ様子を表す言葉なので、「腹が煮えくり返る」と思ってしまうのかもしれませんね。
問3「焼けぼっくいに火が付いた」 ○
こちらは正解です。「焼けぼっくい」とは、焼けてこげたくい(杭)のことです。
燃えさした杭は、再び火が付きやすいことから、一度終わった男女の仲が再び戻ることを言います。
間違えやすい例としては、響きが似ているためか「焼けぼっくり」のように「くり(栗)」と思ってしまうこともあるようですが、「焼けぼっくい(杭)」が正解。
話しの前後で察することもできるものですが、解釈のずれが相手に誤解を受ける、相手に伝わらないなどの結果にならないように注意したいものですね。