ハイブリッドカーの経済性を検証
経済性を考慮すると、ハイブリッドカーは必ずしもおトクとはいえない点に注意が必要です。たとえばトヨタのカローラ。ガソリン車(Gグレード165万円)とハイブリッドカー(Gグレード207.5万円)では、車両本体価格で42.5万円の差があります。一方、ガソリン車のエコカー減税は5万5200円、ハイブリッドカーのエコカー減税は12万8400円なので、取得費はハイブリッドカーが約7万3200円安い。したがって、ガソリン車とハイブリッドカーの純粋な価格差は35万1800円です。
燃費はガソリン車が20キロ、ハイブリッドカーが33キロなので、リッター13キロの燃費差。1日20キロ、月に600キロ走るとすれば、リッター160円として、月のガソリン代がガソリン車は4800円、ハイブリッドカーは2909円。年間で2万2692円の差となり、モトを取るには15.5年かかる計算です。
しかし、ハイブリッドカーは10年くらいでバッテリー交換が必要といわれており、修理費がかなりかかるかもしれません。たとえばプリウスのバッテリー交換では、工賃含めて30万円くらいかかるようです。
ただし、もし月に2000キロ走るなら年間約7万5600円の差となり、4.7年でモトが取れることになります。あくまでカタログ値に過ぎませんが、たくさん走る人はおトク、さほど走らない人はそうでもない、ということになります。
ディーゼル車とハイブリッドカーの経済性を比較
次は、最近人気のディーゼル車で比較してみましょう。排気量は2.2リッターと車格的にはちょっと上になりますが、たとえばマツダCX-5は4WDでも燃費は18キロです。軽油はレギュラーガソリンよりリッターあたり25円ほど安いので、月600キロ走ったときの燃料費は4500円。排気量1.5リッターで2WDのカローラより若干安くなります。2000キロ走ると1万5000円。CX-5は排気量が大きいため諸経費は大きくなりますが、もちろん自動車取得税・重量税は100%免税。
反面、「レクサスRX」のハイブリッドカーも4WDですが、ハイオクガソリンなので燃料費が上がります。そういう点もあり、4輪駆動でありながら燃料費が安く済むCX-5は、雪国の人にも人気のようです(スバルからも4WDのハイブリッドカー、「XVハイブリッド」が登場し、ものすごい人気だそうです)。
ハイブリッドカーの魅力は他にある
個人的なハイブリッドカーの魅力は、その圧倒的な加速フィールです。モーターの特性ゆえに、アクセルをふかしたら瞬時にトルク全開となる運転感覚は、非常に満足度が高いと感じます。ディーゼルエンジンも、ガソリンエンジンよりも低回転から盛り上がる太いトルクが特徴ですから、街中でストップ&ゴーが多い人には運転しやすいといえるでしょう。
また、、ハリウッドセレブに見られるように、エコカーに乗っているという満足感や見栄を満たせるという人もいるようです。ガソリンとモーターの状況がモニターで表示されるため、エコ運転になりやすい効果もあるそうです。
つまり、ハイブリッドカーは、満足感や運転フィールという楽しみがあるけれども、経済性だけ考えると、距離を走る人以外は割に合わないかもしれないということを踏まえておきたいものです。
※文中の数値・金額はいずれもガイド調べ