映画/口コミでおすすめの文芸映画(邦画)

命をかけて文献を守った人たちの壮大な歴史ロマン

作品最大の魅力は壮大な歴史ロマンと、交易と文化の重要なシルクロードの都市・敦煌を描いた点です。映画としての魅力は、日本映画には稀なスペクタクル性。大掛かりな戦闘シーンは、バブル期の作品を感じさせると同時に、見応え充分です。

投稿記事

日本では稀な壮大なスペクタクル映画
『敦煌(とんこう)』

■監督
佐藤純彌

■主演

佐藤浩市、西田敏行

■DVD販売元
角川映画

■あらすじ

11世紀中国、宋の時代。科挙に落ちた漢人の趙行徳は、町で西夏の女性を助けた礼に西夏への通行証をもらう。そこに描かれた西夏文字に興味を持った趙は西域へ旅立つ。

途中西夏の漢人部隊に捕らえられるも、隊長の朱王礼は文字の読める趙を書記として重用する。西夏に着いた趙はそこが砂漠の辺境ではなく、シルクロードの拠点、仏教文化が花咲く地だと知る。

西夏のウイグル攻略の際、同行した趙はその王女ツルピアと出会い彼女を匿う。そして互いに愛し合う様になっていく二人。その後西夏の皇帝は趙に首都への留学を命じる。

数年後西夏に戻った趙はツルピアが見付かってしまい、ウイグル支配のため、彼女が西夏の皇太子・李元昊と政略結婚させられることになったと知り……。

■おすすめの理由
作品最大の魅力は壮大な歴史ロマンにあります。さらに言えば大国の歴史における重要な出来事ではなく、多くの民族が入れ替わり支配した、交易と文化の重要なシルクロードの都市・敦煌を描いた点にあります。

本作は井上靖氏の同名小説を元に映画化されました。作品のモチーフは物語の最後、戦乱の中、趙行徳ら文人達が自らの命を顧みず、経典や書物を石窟寺院に隠し、紛失を逃れようとする行為に集約されます。

20世紀初頭、実際に敦煌で経典等の大量の文献が発見され、当時の都市の様子が次第に解明されてきました。

名もなき人々により文献が守られたこと、守った人々の歴史を後世に繋げようとする想い、に感銘を受けた井上さんが史実に作家の想像力を補った物語なので、歴史ものではなく文芸ものの括りで良いと思います。

この様な文献・言葉・文字を守る物語は類型として小説・映画・漫画等でたまに見かけますが(最近では『ワンピース』のウォーターセブン編等)人々の心を強く打ちます。

映画としての魅力は、日本映画には稀なスペクタクル性です。中国でオールロケを行い、多数のエキストラを動員した大掛かりな戦闘シーンは、バブル期の作品を感じさせると同時に、見応え充分です。

もう一つの魅力は学はなくとも義に厚い軍人・朱王礼を好演した西田敏行さんです。本作は西田さんの個性派ではなく演技派としての魅力が堪能できる作品でもあります。


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