市井の目から見た戦争を描いた映画
■作品名「連合艦隊」(1981)
■監督
松林宗恵、中野昭慶
■主演
小林桂樹、高橋幸治、丹波哲郎、鶴田浩二
■DVD販売元
東宝
■おすすめの理由
1981年に公開された「連合艦隊」は、戦争映画ですが、いわゆる軍人を讃える映画ではなく「市井の目から見た戦争映画」という様式が取られています。
監督の松林、脚本の須藤の両氏はいずれも旧海軍出身で、過去の戦争映画が英雄物となっているのに疑問を抱き、犠牲になった兵隊とその家族を中心にこの映画を描いたそうです。
それが多くの人の共感を呼び、1981年の日本映画の中では興行収入も観客動員数もトップとなる大ヒット映画となる記録を作りました。
■あらすじ
連合艦隊司令長の山本五十六らの反対にもかかわらず、1940年、時の海軍大臣・及川古志郎の「やむおえない」の言葉で、日独伊の三国軍事同盟が結ばれてしまった。
そして世界情勢は緊迫し、対米戦争は次第に現実味を帯びてくる。
1941年真珠湾攻撃。
海軍中尉の本郷栄一は、艦上爆撃機に搭乗し真珠湾に赴くが、そこには米軍の空母の影がなかった
その頃竣工した戦艦大和には、山本五十六ほか多くの乗組員が乗船。
その中には船大工で海軍に復職した小田切武市の姿が。
そしてミッドウェー海戦で作戦に失敗した日本は、どんどん追いつめられ消耗戦へと突入する……。
戦争映画なのですが、やたらに戦争を美化したヒーロー物などではなく、親が子を思う気持、子が親を思う気持……。戦争で戦う人々にも家庭があり、日常の生活があるということを、しっかりと描いたヒューマンドラマだと思います。
谷村新司さんの「連合艦隊」の主題歌は歌詞も曲も心に残る名曲で、それと相まってこの映画は観るたびに泣いてしまう映画です。
やはり戦艦大和が、米軍の集中砲火によって撃されて沈んで行く姿は、まるで日本の国土そのものが撃沈されていくような悔しさ、悲しさ、怒り……色々な思いで胸が一杯になり号泣してしまいます。
また、戦闘機に乗った息子と、戦艦大和に乗った父親が空と海で武運を祈り、お互いの姿は見えずとも別れの敬礼をするシーンも、胸が潰れるような思いです。
だからこそ、こんな戦争など絶対に繰り返してはならない……という思いをその都度深くしていく映画です。