人情、恋愛、喜劇、色々な要素が入った邦画の名作
■作品名蒲田行進曲 (1982)
■監督
深作欣二
■主演
松坂慶子、風間杜夫、平田満
■DVD販売元
SHOCHIKU
■おすすめの理由
世代や時代を超越して邦画の名作として語られる「蒲田行進曲」。
つかこうへいの脚本を、角川春樹氏が映画化しようと東映に持ち込んだところ、「当たらない」と断られ松竹が製作。
主演の銀四朗は、松田優作のオファーするも断られなど、キャストは難航し、撮影直前に風間杜夫と平田満に決まり、結果的に彼らの大出世作となったという製作ストーリーを持つ映画です。
配給収入は17億6千万の大ヒット作品となりました。
■あらすじ
5年に1度の大作「新撰組」の撮影に湧く東映京都撮影所。
作品の見どころは、池田屋に討ち入りをした新撰組の隊士が、スタント担当の大部屋役者を斬り落とす場面。
高さ数十メートルの階段を転がり落ちる「階段落ち」のシーンだ。
普通で軽症、へたをすると半身不随や死亡することもあるリスクのある役だが、一度でもいいからスターになりたい大部屋役者の夢を叶える役でもある。
主役の土方歳三役を務めるのは、銀四朗(風間杜夫)。
銀四郎は実は出世のために、自分を慕う大部屋役者のヤス(平田満)に、妊娠した恋人の女優・水原小夏(松坂慶子)を押し付けていた。
自分の子ではないのに、夫、父親になるヤスは、危険を承知で階段落ちの役を受け、お産費用を捻出しようとするが……。
この映画は演技も、セリフもまるで舞台を観ているかのような「熱」が伝わってきます。
階段落ちのシーンは、セットが立派なのでやはりすごい迫力です。
我の強い銀四郎、いつも笑顔でお人好しのヤス、男に振り回されるダメンズな小夏など、個性的なキャラをオーバーリアクションめに演じているので、まるでマンガを観ているような面白さがあります。
ヤスの純愛、健気さが切なく、落ち目で故ずるくてかっこいい銀四郎、それに惚れてしまうダメ女の小夏を巡り、人情、恋愛、喜劇……色々な要素が入っていて最後まで楽しめます。
あのレトロな昭和っぽい、明るいようで哀愁のあるテーマ曲は忘れられません。