岡本監督を慕う俳優達の熱演が光る作品
『近頃なぜかチャールストン』

■監督
岡本喜八

■主演
利重剛、財津一郎、小沢栄太郎

■DVD販売元
ジェネオン エンタテインメント

■あらすじ

非行少年の小此木次郎は留置場へ放りこまれる。そこには自分たちを独立国“ヤマタイ国”の国民と称する6人の老人がいた。彼らは無銭飲食で捕まったのだ。

翌日お互い釈放されるも、次郎は老人達のことが気になり、お手伝いのタミ子とヤマタイ国を探し始めるのだが……。

■おすすめの理由

本作は『独立愚連隊』『日本のいちばん長い日』等の名作で知られる技巧派、岡本喜八監督による喜劇作品です。

魅力の第一に挙げられるのは作品の世界観の面白さです。

日本国の右傾化に異議を唱える戦中派の老人達が東京のど真ん中に独立国を作り、そこで巻き起こる騒動を、社会への様々な風刺を交えてエネルギッシュかつ荒唐無稽に描きます。

まず“右傾化”という言葉がキーワードの一つなのが目に付きます。この言葉は最近よく耳にしますが、本作は30年以上前の作品。

語られる文脈・背景・意味合いは当時とかなり違っているとは思いますが、憂国の表し方として興味深いところです。

また制作当時はバブルの少し前の時代。作品内で描かれる若者の考え方・ノリは物質的に豊かになってきた時代のそれですし、保険金殺人という言葉が社会的に広く知られる様になってきていたことなど現在から見ていろいろと違いや共通点を感じるものがあります。

あと老人が社会に異を唱える狂言回しという設定もユニークで、反骨精神溢れる岡本監督らしさが出ています。今の感覚だったらこういう役をあてがわれるのは子供か10代の若者ではないでしょうか?

“老人”というワードも現在だったら“高齢化”とか“孤独死”のイメージと結びつきやすいと感じます。

そしてもう一つの魅力は俳優陣の豪華さです。小沢栄太郎、殿山泰司、岸田森、田中邦衛といった一流の性格俳優達が集い、岡本ワールド全開の世界観を盛り立てます。

本作は1千万円という低予算、監督宅の一部をセットとして撮影、等厳しい制作環境で撮られましたが、岡本監督を慕う俳優達の熱演が光る作品に仕上がっています。

これは映画の出来が予算の潤沢さではなく、監督、スタッフ、演者達のアイデア、熱意、想いによる部分が大きいと教えてくれる好例でもあります。





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