カメレオン俳優、ダスティ・ホフマンさんが魅せる名作映画
■作品名レインマン
■監督
バリー・レヴィンソン
■主演
ダスティ・ホフマン、トム・クルーズ
■DVD/Blu-ray発売元
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
■おすすめの理由
役どころによって、同じ人物と思えないくらい外見から雰囲気、仕草や話し方まで変えてみせる「カメレオン俳優」と呼ばれる方は、幾人かおられまして。この「レインマン」ダスティ・ホフマンさんはその代表選手だと思うのですが、いかがでしょうか?
首を、35度の角度にまげて、両手を幽霊みたいに胸の前にたらして、小股でちょこちよこ歩き。しゃべればどもってばかりで、決して人と目を合わせようとしない彼は、「アウト・ブレイク」や「クレイマー・クレイマー」、「トッツィー」の彼と同じ人間とは、とても思えません。
まぁそれを言うならば、弟役で出演しているトム・クルーズも、「トップガン」のお兄ちゃんでもなく、最近で言えば「アウトロー」の危険なヒーローでもなく。自堕落で自分勝手なチンピラを好演しています。
この映画はわたしにとって、ロードムービーであり、バディムービーであり、なによりも家族というものありがたさを、胸につきつけてくる映画です。
■あらすじ
放蕩息子の弟は、父親の遺産のほとんどを遺された自閉症の兄から奪おうと、施設から連れ出し自分の家に向かいます。
「飛行機は落ちる」と搭乗口で騒ぎ出した兄に根負けして、広大なアメリカを車で横断していくうちに、いつもお兄ちゃんの後ろについて歩いていた子供時代を、弟は思いだします。
すこしだけ絆を再確認したかとほんわかしたところに、なぜ、仲の良かったはずの兄弟が離れ離れになったのか。その真相を弟は知ってしまい……。
家族で観る映画として必須の条件とわたしが考える、笑いも涙も十分なこの映画ですが、本当に楽しめるのは、お子様が少なくとも中学生に入ってくらいからではないかと思います。親しき者とのやむにやまれぬ別れを、一度は経験してからですね。
みんなでわははと笑える映画はもちろん楽しいですが、たまにはしっとり「人生」を考えさせる映画を家族で観るのも、よいのではないでしょうか。