一方的にライバル視していた宮廷音楽家サリエリ

■作品名
アマデウス

■監督
ミロシュ・フォアマン

■主演
F・マーリー・エイブラハム、トム・ハルス

■DVD/Blu-ray発売元

ワーナー・ホーム・ビデオ

■おすすめの理由
皆様は、モーツアルトの正式名称をご存知でしょうか。

彼の正式名称は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト。この「アマデウス(神に愛された)」という名は、彼の父親が息子の天賦の才を感謝してかそれとも世に知らしめるためか、モーツァルトが4、5歳の時につけたそうです。

いかにも天才らしいエピソードと思うのですが、この映画はそんな天才のある意味「知られざる一面」を余すところなく見せてくれます。

どうもクラッシックは苦手なんだよななんて言うそこのあなた。ご安心ください。この映画のモーツァルトは下品かつ非常に嫌なヤツです。

映画は、モーツァルトを一方的にライヴァル視していたサリエリという宮廷音楽家の視点で語られます。そして映画を見て行くうちに、この少々ナルシスティックなサリエリくんに大いに同情したくなります。


いやひどいもんですよ。マリー・アントワネットの兄として知られる皇帝に、「練習用に簡単なものを」とサリエリが献上したピアノ曲。ちょうど挨拶にきたモーツァルトが、一度聴いただけのそれをその場で弾くのはまだいいのですが……。

「ここが少々納得いかない」なんて言いながら、実に楽しそうに、あっさり極上の曲に仕上げてしまう。


場末の酒場で酔いどれながらも見事な調べを聴かせるシーンでは、著名な宮廷音楽家の弾きマネを即興でしてみせるモーツァルトに、仮面で変装したサリエリが「サリエリ風」と言えば……。

胸をそらしもったいぶって弾いたあと、上着をぺろりと捲りあげて、放屁の真似までする始末。

あれじゃぁ恨まれてもしかたない。そう思わせるひどさです。


でもね。そんな人間失格な彼であっても、紡ぎだす音楽は天上の調べ。憎んで恨んで、曲を奪ってやろうと押しかけたサリエリが、「美しい……」と呟いてしまうほど。それを百年後の我々凡人も、楽しませてもらっているのですから、実際この映画の描くような人間だったとしても許せませんかね?

愛すべきロクデナシを描いた「アマデウス」。あなたもぜひお楽しみください。





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