将来の電気自動車用バッテリー
経済産業省の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が2013年8月に公開した『NEDO二次電池技術開発ロードマップ(Battery RM 2013)』では、電気自動車用バッテリーの開発目標が具体的に示されており、リチウムイオン電池のエネルギー密度向上及び低コスト化を目指しています。そのロードマップデータから、現在の電気自動車に使用されるバッテリーの価格を110万~240万円程度、車両価格を260万~376万円と仮定すると、車両価格の半分程度をバッテリーが占めることになります。航続距離も120~200kmであり、使い方次第ではありますが、まだまだ一般の方に受け入れてもらえる性能にないのが現状ではあります。
しかしロードマップによると、2020年からバッテリーの価格が50~80万円まで引き下げられ、それに伴い車両の価格も200~230万円に引き下げられています。バッテリーの性能も上がり、250~350kmの航続距離を走るようになります。2030年以降になるとバッテリーの価格も30~40万円で済み、車両の価格も200万円を切り180万円程度で車両が提供されるようになります。
この頃になると電気自動車に搭載されるバッテリーはリチウムイオン電池ではなく、多価カチオン型電池、全個体型電池、金属―空気電池など新たに開発されている次世代の革新的な電池となることが予想されます。
このようにして、インフラの整備に頼らずとも、バッテリーの研究開発が進むことで、エネルギー密度や出力性能が向上し、バッテリーは驚くほど安価なものになるでしょう。それに伴い、電気自動車の航続距離の増加やさらなる車両のコストダウンが可能になり、一般化する電気自動車への期待は高まるばかりです。ゆえにリチウムイオン電池の普及が電気自動車の普及に向けて大きな役割を担っていると言っても過言ではないのではないかと私は考えます。そして今後のバッテリー市場とその動向に対して、ますます注目が集まることでしょう。