新築住宅の場合の第三者による施工中の現場検査とは?
住宅瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)保険とは?
せっかく手に入れたマイホームに構造上の欠陥などがあった場合、人命にかかわる問題にもなりかねません。新築住宅については、平成12年4月に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によって、基本構造部分については10年間の瑕疵担保責任(重大な欠陥があった場合に補修や賠償金の支払いなどの責任を負うこと)が義務づけられました。また、新築住宅の供給事業者が資金的な問題で、瑕疵担保責任を負えない場合(倒産してしまう等)に備えて、平成21年10月に「住宅瑕疵担保履行法」が施行されました。これ以降は、新築住宅については「住宅瑕疵担保責任保険に加入」するか、「瑕疵担保保証金を供託」するかによって、責任を負う資力を確保することが義務づけられたのです。
つまり、新築住宅の場合は必ず、供給事業者が保険への加入か保証金の供託かのいずれかを行っていることになり、このうち保険に加入している場合は、確実に「すまい給付金」の対象になります。保険への加入の際に、保険を引き受ける住宅瑕疵担保責任保険法人が、建築士などによる現場検査(=第三者の現場検査)を行うからです。
では、どの程度の新築住宅が対象になるのでしょうか?
国土交通省が、住宅瑕疵担保履行法に基づく資力確保措置の実施状況(平成29年3月31日の基準日時点)について調べたところ、ほぼ半数が保険への加入の対応をしていました。ただし、事業者別にみると、保証金の供託のみを選択したのは、建設業者で0.5%、宅地建物取引業者で1.2%だけで、大半の事業者が保険への加入を選択しています。それでも保険への加入戸数は約半数ということから、供給戸数が多い大手事業者ほど、「すまい給付金」の対象となる保険への加入ではなく、保証金の供託を選択していると考えられます。
建設住宅性能表示とは?
品確法では、瑕疵担保責任を10年間義務化することのほか、「住宅性能表示制度」(様々な住宅の性能を共通ルールで表示する制度)を制定しました。新築住宅は平成12年10月から、中古住宅は平成14年12月から制度の運用が開始されています。新築住宅については、制度で求められている性能が確保されているかをチェックするために、設計段階の図面による「設計評価」と建設工事・完成段階の検査による「建設評価」の2段階があり、このうち、後者の「建設評価」を受けたものが「建設住宅性能表示を利用する住宅」に該当します。
では、どの程度の新築住宅が対象になるのでしょうか?
国土交通省が建設住宅性能評価書の交付実績を調べたところ、平成28年度(平成28年4月~平成29年3月)では、一戸建ての住宅で7万7232戸、マンションなどの共同住宅で9万2886戸、合計17万118戸に評価書を交付していました。
前述した住宅瑕疵担保責任保険への加入戸数が、同時期の合計で45万4774戸あるのに比べると、該当する戸数は少なくなっています。
フラット35Sとは?
フラット35Sの基準を満たすことを求められるのは、住宅ローンを利用せずに新築住宅を取得した場合のみです。「フラット35」は、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携している住宅ローンで、返済期間中ずっと金利が変わらないこと(全期間固定金利)が特徴です。フラット35を利用するには、住宅金融支援機構が定めた独自の技術基準に適合し、物件検査に合格した住宅である必要があります。
フラット35Sの適合基準は省エネルギー性や耐震性などに優れていること
フラット35Sの基準を満たす住宅がどの程度あるのかは、明確ではありません。基準を満たす住宅であることと、実際にフラット35Sの借り入れをすることは別物だからです。しかし、新築マンションの場合は、不動産経済研究所の「マンション市場動向‐2017年10月度‐」によると、ベースとなるフラット35の登録率は首都圏で94.0%、近畿圏で71.7%となっています。このうちフラット35Sの基準を満たす住戸も、かなりあると思われます。
これまで紹介してきた第三者の現場検査については、重複する場合もあればしない場合もあります。「住宅瑕疵担保責任保険への加入」も、「建設住宅性能評価書」の交付も、「フラット35S」の基準も満たす新築住宅もあれば、いずれの条件も満たさない新築住宅もあります。新築住宅のすべてが「すまい給付金」の対象となるわけではないということを理解しておきましょう。
○すまい給付金についての詳細は、「すまい給付金」ホームページ http://sumai-kyufu.jp