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あまちゃん震災編:苦難の時代は明るく乗り切る

『あまちゃん』震災編に突入。注目はまだ生々しい震災の描写をどうするかでしたが、登場人物の目を通して間接的に描くという方法でクリアしました。そしてもうひとつ、苦難の時代を乗り切るのに重要なのは……

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

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連続テレビ小説・朝ドラの『あまちゃん』が9月とともに震災後に突入しました。みんなが不安だったのは震災の描写をどうするか?記憶も生々しい中でそのままの映像を見せられると辛すぎます。

前例としては神戸が舞台の朝ドラ『甘辛しゃん』があります(そういえば「あま」で始まるところが共通)。これは1995年1月におきた阪神大震災を1998年春に真正面から描き、正直、見ていて辛いものがありました。

『あまちゃん』も時間経過としては同レベル、どんなことになるのかドキドキしながら見ていましたが、観光協会のジオラマと東京の人たちがテレビやネットなどで見つめる表情での間接表現が中心。もろに被害を見せたのは大吉(杉本哲太)とユイ(橋本愛)がトンネルから出た時。

これまで魅力的に描いた登場人物の目を通して震災を再体験することで、映像としてはそのままではないけど視聴者も正面から受け止めることができるという、見事な表現方法でした。


苦難の時代

さて朝ドラといえば、昭和のころの定番パターンは女性の一代記で途中で太平洋戦争が入るというもの。太平洋戦争による苦難というのも辛くて乗り切るのが難しい時代です。

この時期をあかるく乗り切ることに成功したといえば79年放送の『マー姉ちゃん』でしょう。原作は長谷川町子のコミックエッセイ『サザエさんうちあけ話』。『サザエさん』の成立過程を原作者の一家を舞台に描くというもの。

 

姉でヒロイン・マリ子役の熊谷真実とマチ子役の田中裕子、いまでは大女優の二人による掛け合いはデビューしたてのころからハイレベル。また口癖が「明日を思いわずらうことなかれ」とやたらと楽天的な母親(藤田弓子)を中心に登場人物が一丸となって太平洋戦争をあかるく乗り切ることに成功していました。朝ドラの最高傑作を選ぶ場合、コメディパートで『あまちゃん』最大のライバルになるであろうヒット作です。

次は「やってはいけない」のは

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