演劇・コンサート/おすすめ舞台・公演

劇場にGO! 2013年9月~10月演劇ガイドお薦め舞台(2ページ目)

鬼のような猛暑も落ち着き、2020年の五輪招致が決定した東京はすっかりスポーツモード……いやいや待って、待ってえ! 2013年・秋、劇場でもスポーツに負けないドラマの数々が起きています。今回はその中からガイド注目の舞台「MIWA」「ロスト・イン・ヨンカーズ」「ぬるい毒」「コーラスライン」の4本をPick Up!

上村 由紀子

執筆者:上村 由紀子

演劇ガイド


野田ゼウス神が 又悪戯をして
私 美輪明宏の人生をもう一個創るそうな。 「MIWA」


ミワ

MIWA 豪華なキャスト達


まだガイドが制服を着て尾崎豊を聞きながら嫌々学校に通っていた頃、野田秀樹さん率いる「夢の遊眠社」は、1日で26,400名の観客を代々木競技場第一体育館に集めた演劇マラソンを行い、日本中の視線を「演劇」に集めていました。……あれから27年。今でも野田さんが演劇界で巻き起こす風は普段劇場や舞台といった事にあまり関心を持たない人たちも巻き込み、大きなムーヴメントを起こしています。

そんな野田秀樹さんがこの秋手掛ける舞台の題材は何と……美輪明宏さん。実在の……それもまだ精力的に活動なさっている人物です。本作「MIWA」では「出鱈目の美輪明宏物語」がNODA・MAP常連の宮沢りえさん、古田新太さん、池田成志さん……そして初参加となる瑛太さん、井上真央さん、小出恵介さん、浦井健治さん、青木さやかさんらによって演じられます。

美輪明宏さん=MIWAを演じるのは宮沢りえさんですが、彼女?彼?を取り巻く人物たちの名前も幼恋繋一郎、聖母マリア、負け女、アンドロギュヌス……と、時代もキャラもバリエーションに富んでおり、エラい事になりそうです。(役名は変更の可能性あり)

野田秀樹さんの作品は、最初はストーリーを理解しようと左脳で観ているのですが、それがある時無意識に切り替わって「何だかわからないけど涙が出てる」とか「良く分からないうちに気持ちがざわめいた」なんて状態になるのが肝かな、と個人的には思っています。同じ時代を生きている者として、普段演劇にあまり興味がない方にも強くお薦めしたい1本です。

みわ

MIWA

NODA・MAP 第18回公演  「MIWA」

[作・演出] 野田秀樹
[上演期間] 2013年10月04日 (金) ~2013年11月24日 (日)  
東京芸術劇場 プレイハウス(池袋)
[チケット] 前売り完売 当日券あり
[出演] 
宮沢りえ 瑛太 井上真央 小出恵介 浦井健治
青木さやか 池田成志 野田秀樹 古田新太

東京公演後、大阪、北九州公演あり
公式HP http://www.nodamap.com/miwa/top.html


愛した日々に悔いはない 劇団四季 「コーラスライン」

1979年9月24日に日本で初めて上演されて以来、劇団四季のレパートリー作品として大切に上演され続けている舞台「コーラスライン」。ステージ奥に鏡がある他はセットらしいセットもなく、舞台上に立つ17人のダンサー達は上演時間の2時間25分、ほぼ出ずっぱりの状態で観客と対峙する、ある意味とてもシビアな作品です。

ブロードウェイの演出家・ザックにオーディションの場で「今日は君たちの人生について語って貰おう。何故ダンサーになろうと思ったんだ?」と、思いもかけない言葉を投げかけられ、最初は戸惑ったりふざけたりしていたダンサー達がやがて真剣に自分たちの過去、現在、未来を語っていく……。

ガイドがこの「コーラスライン」を初めて観たのは両親に連れられて行った1985年の日生劇場で、それ以来何度も何度もこの舞台に触れているのですが、先日、自由劇場で本作を観劇した時に、何だかそれまでと違う感情が物凄い勢いで押し寄せてきたんです。それはエイジングのせいかもしれないし(まさかシーラの「もうすぐ30歳」という台詞に’まだまだよっ’と心中でツッコむ日が来るとは!)、舞台上でダンサーを演じる俳優達のとてつもない熱量に打たれたからかもしれない。「その日=踊れなくなる時」を見つめて生きるダンサー達の生き様に、肩を強く掴まれて、揺さぶられたような気がしたんですね。

34年間も色褪せる事なく私達の心に何かを伝え続けてきた「コーラスライン」。この作品を自由劇場という濃密で色々なものが凝縮された空間で観劇するのはとてつもなくゴージャスな体験だと思います。今回の東京公演、千秋楽が近づいてきていますので、迷っている方は是非劇場で17人のダンサー達の生き様と向き合ってみて下さい。どんな世代の方がご覧になっても、共感したりグっとくる場面にきっと出会える筈です。

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撮影 下坂敦俊


劇団四季 「コーラスライン」
■自由劇場(浜松町)で9月23日まで公演
■チケット料金
四季の会会員料金= S8,800円 A6,000円 B4,000円
一般料金= S9,800円 A6,000円 B4,000円
(学生料金の設定有り)
劇団四季予約センター 0120-489444(午前10時~午後6時)

公式HP http://www.shiki.jp/applause/chorusline/


如何でしたか? スポーツの秋や食欲の秋も良いですが、9月から年末にかけてエンタメは超熱い季節……劇場に行かない手はないですよ! 1枚のチケットがあなたの人生を変えるきっかけになるかもしれません。

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