山手線と都電荒川線が交差、
少し離れて丸の内線の新大塚駅も
大塚駅(豊島区)は山手線と都電荒川線が交差する駅。都電隆盛の時代には春日、上野方面への路線の駅も設置されており、繁華な場所でした。戦前は駅前に白木屋デパート分店があり、映画館や寄席もあったとか。
また、南口から少し離れた場所には料亭、芸者置屋、待合の三業が許可された大塚三業地があり、昭和30年代から40年代の最盛期には料亭85軒を数えるほどの賑わいを見せていました。現在も通りの入り口には「大塚三業通 入口」の看板が残されており、数軒ほどの料亭が現在も営業を続けているそうです。
ところが、東京メトロ丸の内線の計画にあたって、当初は大塚に駅を作る予定であったものの、駅一帯が低地で駅開設が技術的に難しかったことから、駅は大塚駅から南の高台に新大塚駅として開業。同じころから衰退した花街とともに、大塚の賑わいは停滞、お隣の池袋に地域ナンバーワンの繁華街の座を譲り渡すに至ります。
とはいえ、現在も駅周辺には南北両側に飲食店を中心にした商店街が広がり、池袋ほどではないものの賑わいは健在。さらに2013年秋には建て直し中だった駅ビルが完成予定で、合わせて駅前も整備が進んでいます。駅ビルには駐輪場、商業施設、スポーツ施設、オフィスに加え、保育園も予定されており、地域からは期待の声も。いまひとつ、マイナーなイメージがあった大塚が変わるかもしれません。
南北どちらにも商店街、
物価が安く、夜が遅いので忙しい人には便利
では、実際の街の様子を見ていきましょう。まずは南口側。ロータリーを挟んで正面には飲食店街があり、現在の豊島区のほぼ半分を占めるかつての巣鴨村の総鎮守天祖神社も。ここでは毎年9月半ばに例大祭が行われ、100基に及ぶ神輿が巡行し、このエリアの歴史を感じさせてくれます。
飲食店街を抜けるとすぐに住宅街です。大塚周辺ではこれまで、あまり開発が進んでこなかったためか、南口に限らず、古いビル、住宅が多いのが特徴。最近になって少しずつ古い建物の更新が行われるようになってきており、今後も極端に大きな規模の建物はないにしても、数十戸から100戸くらいまでの規模のマンションなどの建設はあり得そうです。
古くから宅地化されてきたこのエリアでは小さな公園はあるものの、まとまった規模の公園はほとんどなく、唯一広めなのが南口から歩いて10分ちょっとの新大塚駅近くの大塚公園。ここはラジオ体操発祥の地として知られていますが、残念ながら立地するのは豊島区ではなく、文京区。向かいにある都立大塚病院は豊島区にあり、母子医療に力を入れています。
意外なのは西巣鴨中学校前の桜並木。トンネル状になった桜が見事で、毎年、南大塚桜祭りが開かれています。
反対の北口側にも飲食店を中心にした商店街が長く続いており、物価の安さが魅力。ランチならワンコインから600円くらいまでが多く、夜、飲んで食べてという場合でも3000円程度。個人経営の店が多く、夜も遅いのが特徴です。夜遅いという意味では24時間営業の書店もあり、忙しいビジネスマンなどには便利な街です。
駅近くでは駐車場が点在、虫食い状態になった敷地をいくつか見かけました。地元の人に聞いてみると再開発の計画はあるものの、途中まで売却が進んだものの、計画が頓挫、駐車場になっているとのこと。今後、このあたりがどう動くかで、駅周辺は大きく変わる可能性があります。こちら側も駅から数分歩くと、小さな商店街はあるものの、あとは静かな住宅街。古い家が多く、レトロというか、下町っぽいというか、そんな雰囲気です。
ところで、大塚では山手線のほかに都電荒川線が利用できます。あまり、利用したことがないという人もいらっしゃるでしょうが、他路線への乗り換えを考えると、この路線、意外に便利。交差する路線としては東京メトロ副都心線、有楽町線、日比谷線、千代田線、都営地下鉄三田線、京浜東北線などがあり、サンシャインシティや早稲田大学に行くなら荒川線が便利で、あまり、混雑しないのもメリットです。料金は160円。
続いて山手線大塚駅周辺の住宅事情を見ていきましょう。