家庭訪問型子育て支援『ホームスタート事業』とは
函館市で開かれた「ホームスタート・ジャパン」講演会
NPO法人『ホームスタート・ジャパン』(西郷泰之代表理事)が、この家庭訪問型子育て支援策のノウハウとネットワークづくりについて伝えるために、全国各地で講演会を行っています。今月初め、まだホームスタート事業の実践例がない北海道で初めて、函館市でこの講演会が開かれました。
孤独な子育てになってしまう背景
講演会ではまず、参加者同士が、孤独な子育てになってしまう要因について、グループワークで意見を出し合いました。出されたのは以下のような意見です。恐らく、「全く外に出られない」という状況にまで陥っていない、または陥ったことがない方でも、似たような環境に閉塞感を味わったことがある方は少なくないのではないのでしょうか。
“すき間産業”の子育て支援策
西郷教授は、ホームスタート事業を“すき間産業”と表現します。行政の支援が埋められない“すき間”とは、どのような部分でしょうか。孤独な子育てを防ぐための自治体の代表的な子育て支援策と、具体的内容、その支援がカバーできない“すき間”をまとめました。
これらをカバーするのが、ホームスタート事業で家庭訪問をする「ホームビジター」。ホームビジターがするのは「家を訪問し、話を聴き、一緒に家事育児をすること」。ホームビジターの条件は、
- 子育て経験があり、ホームビジター養成講座を受講すること
- 専門家の資格を持っている場合でも、地域の親どうしとして、対等の立場で活動を行うこと
- 無償ボランティアであること
です。
なぜ訪問スタッフは「専門家でない無償ボランティア」?
悩みを抱えた人の話を聴くというのは、決して簡単なことではありません。そのような重要な活動に対し、無償ボランティアという形を動かせない条件とするのは、なぜでしょうか。西郷代表は、以下の点を挙げました。・専門家は、話を聴くだけでなく、アセスメント(評価)や指導をしなくてはならない。
↓
・よって専門家の立場では“対等の立場”になれない。
・有償化することで対等の関係が崩れる。
↓
・家事育児を肩代わりする保育者・ヘルパーの役割になってしまい、一緒に家事育児をする仲間ではなくなってしまう。
悩んでいる人の気持ちを元気にするには、専門家のアドバイスよりも、対等な関係で話に耳を傾けてもらうことに大きな効果があることが、母子保健、精神保健、福祉の分野の調査で明らかになっているそうです。
>>親が元気になれば、親も子も救われる。