バルサミコ酢
バルサミコ酢の歴史
11世紀頃、モデナ・フェラーラ・レッジョエミリアなどの土地を支配していたエステ家が、海外の国王や貴族たちをお城に招待し、晩餐会などでバルサミコ酢を使用したお料理をお出ししたり、食前酒として振るまったりとおもてなしの要として使用していたようです。また、親しい侯爵達への贈答品として、セレブな方達を芳醇な香りで魅了してやまない品物だった事でしょう。
バルサミコ酢の種類
「公爵の酢」「黄金の液体」とも言われるアチェートバルサミコ酢とは、北イタリアのエミリア・ロマーニャ州の主要都市の1つモデナで長い年月熟成されます。熟成を経た高級品になると、グラム当たりの単価がトリュフに次いで高いと言われるほど。原料はブドウのみ。モデナ産の甘味の強いトレッビアーノ種を主に用いて、搾って果汁にしたあと布でこし、これを半量まで煮詰めて酢酸発酵させます。その後、熟成させ、冬には極寒、夏には猛暑というモデナの厳しい気候の中で、栗や桑、樫、桜など毎年異なる木の樽に移し替えられ、香りを移していきながら熟成させていきます。
熟成期間は、一般的に3~7年、長いものでは200年というものもあります。
『バルサミコ・トラディツィオナーレ』と言われる物は、伝統製法で作られたバルサミコ酢です。最低でも12年以上熟成され、法によって定められた厳しい規制をクリアし、最終的に協会認定員のOKが出た物だけに与えられることで、品質が守られています。
『バルサミコ・ヴェッキオ』と言われる物は、熟成期間が25年以上というヴィンテージの物です。
伝統的な生産方法によるバルサミコ酢は高価になりすぎるため、熟成されていないブドウ酢に着色料、香料、カラメルなどが添加された物がお手軽な価格で市場に多く出回っています。
市販のバルサミコ酢をおいしくするには
スーパーでよく見かける普通のバルサミコ酢を『トラディツィオナーレ』ばりのおいしさに変身させるワザがあります。買ってきたら、鍋に移し分量が半量になるまで弱火で、時々かき混ぜながら煮詰めて下さい。これで完成! サラダなどにオリーブオイルや塩と一緒にふりかけて、ドレッシングとして使ったり、バニラアイスやいちごなどに振りかけて食べられたりもよくしています。
おすすめの使い方
私のおすすめは、塩、胡椒をして焼いたお肉やお魚にふりかけて少しトロミが付くまで絡ませたり、揚げものにひとふりしたり、ジャムに加えてパンに塗ったりすること。ほのかな酸味と甘みが加わり、味に幅ができますので、奥深い味になります。和食にもとてもよく合う調味料ですので、是非チャレンジしてみて下さい。
栄養成分
バルサミコ酢は昔、薬用としても使用されていました。17世紀のヨーロッパでは、うがい薬、強壮剤、養毛剤などとしても使用され、ペストが流行った時代には、予防や治療の効果があるとして使用されていたようです。
バルサミコ酢には、抗酸化作用に優れた、ポリフェノールが豊富に含まれているので、老化防止効果が期待できます。
また、赤血球の膜が固くなるのを防ぎ、血行促進効果、疲労回復効果、消炎効果なども期待できます。