遺産分割協議書をつくるまで
ではどうやって遺産分割協議書を作成するのでしょうか。遺産分割協議書を作成するポイントは、まず誰が相続人で、どれだけ相続財産があるかです。
まず、誰が相続人かを調べるために、戸籍簿の調査が必要となります。戸籍簿は、除籍簿という古い戸籍まで遡って取得しなければなりません。事案によっては、明治・大正まで遡って調査することもあります。この調査をもとに相続人関係図というものをつくります。銀行や登記所で必要とされます。
次に、相続財産調査です。通常、相続財産調査はそれほど手間のかかるものではありません。しかし、同居していない家族の死亡による相続など、相続人が亡くなった方の財産を把握していない場合には、一苦労です。相続人と一緒に相続財産の洗い出しをしなければなりません。財産を探していて、逆に、思わぬ負債が見つかることもあります。
以上の調査が終わると、その結果を踏まえて、相続人の間で、遺産分割協議を行ってもらいます。そして、この遺産分割協議が無事終了すると、それを書面にします。これが遺産分割協議書です。この書類には相続人の署名と実印で押印をもらいます。
後は各種名義変更を行います。不動産があれば司法書士に依頼して登記手続きをしてもらいます。また、準確定申告という手続きが必要となる場合や、相続税の問題が発生する可能性がある場合には税理士にも相談します。その他の手続き、例えば銀行などについては委任状をもらって行政書士が行うこともあります。
報酬は
通常はこれらの手続きについて数か月を要します(だいたい3カ月から6か月くらい)。さて報酬です。このように各種書類の収集、調査、遺産分割協議書の作成、名義変更手続きの代理、他の専門家との取次などをすべて行った場合、つまり、相続手続きの一切を依頼したとしましょう。報酬はいくらになるでしょうか。
事務量にもよりますが、30万円くらいから50万円くらいが、行政書士の報酬の相場だと思います(最近はもう少し安くなっている気もします)。ただ、この報酬には、他の専門家の報酬や税金などは含まれていませんのでご注意ください。
なお、報酬基準が撤廃されましたので、これより安いことも高いこともあります。決して安い値段ではないと思いますので、依頼を検討するときはあらかじめお見積りをしてもらうことを強くお勧めします。
これが相続手続きの報酬です。高いと思いますか。それとも安いと思いましたか。もし行政書士で相続を中心に業務をするのであれば、過当競争の分野ですので、いかに仕事を獲るかが大きな課題になると思います。