介護/介護保険の手続き・申請

高額医療・高額介護合算制度とは…介護費用の負担軽減

介護や医療のサービスを数多く利用すると、どうしても費用がかさむもの。介護費用の負担を軽減する「高額介護サービス費」や、医療費用の負担を軽減する「高額療養費」を利用しても、まだまだ負担が厳しいという人のために、プラスアルファの負担軽減制度があります。高額医療・高額介護合算制度についてわかりやすく解説します。

横井 孝治

執筆者:横井 孝治

介護・販促プロモーションガイド

高額医療・高額介護合算制度とは

 
高額医療・高額介護合算制度とは

高額介護サービス費や高額療養費の支給に加え、さらに負担を軽減できる制度が「高額医療・高額介護合算制度」です


「高額医療・高額介護合算制度」とは、同じ世帯で医療保険サービスと、介護保険サービスの両方を利用している場合、「高額介護サービス費」「高額療養費」に加えて、さらなる支給を受けることができるという制度です。

対象となるのは、要介護または要支援の認定を受けており、医療保険サービスと介護保険サービスの両方を利用している人。自己負担額は、同一世帯で合算となります。ただ、同一世帯であっても、夫が後期高齢者医療保険、妻が国民保険など、違う保険制度になる場合は別々に合算することになります。年の差が開いている夫婦の場合は合算できないことが多いので気をつけましょう。
 
合算可能かどうかの早見表

合算可能かどうかの早見表

 

世帯の区分によって支給額が異なる

高額医療・高額介護合算制度は、市区町村民税の課税状況などによる世帯の区分と世帯の年齢によって支給額が異なります。

世帯の区分と自己負担額の上限額(月額)は、下記の表の通りです。

表の中に記載している「課税年金」とは、課税の対象となる年金のことで、国民年金、厚生年金、共済年金などが該当します。障害年金や遺族年金は非課税になので、課税年金には入りません。
 
医療と介護の自己負担合算後の限度額(年額)

医療と介護の自己負担合算後の限度額(年額)

 

高額医療・高額介護合算制度の、意外なほど大きな支給額

それでは、高額医療・高額介護合算制度を利用するとどれぐらいの支給額があるのでしょうか。実際に例を挙げて確認してみましょう。

まずは、ともに75歳以上の夫婦で、区分は「一般(市区町村民税課税世帯)」、夫が介護サービス、妻が医療サービスを受けている場合を見てみましょう。それぞれが1年を通して各サービスをフルに利用した場合、高額介護サービス費と高額療養費の支給を受けただけだと、自己負担額は1,018,800円となります。しかし、高額医療・高額介護合算制度を利用すると、自己負担額は560,000円に。約46万円が支給されます。
高齢者夫婦がともに75歳以上、一般(市区町村民税課税世帯)、夫が介護サービス、妻が医療サービスを受けている場合

高齢者夫婦がともに75歳以上、一般(市区町村民税課税世帯)、夫が介護サービス、妻が医療サービスを受けている場合



次に、ともに75歳以上の夫婦で、区分は「低所得者(市区町村民税非課税世帯)」、夫が介護サービス、妻が医療サービスを受けている場合を見てみましょう。それぞれが1年を通して各サービスをフルに利用した場合、高額介護サービス費と高額療養費の支給を受けると、自己負担額は590,400円となります。さらに、高額医療・高額介護合算制度を利用すると、自己負担額は310,000円に。約28万円が支給されます。
高齢者夫婦がともに75歳以上、低所得者(市区町村民税非課税世帯)、夫が介護サービス、妻が医療サービスを受けている場合

高齢者夫婦がともに75歳以上、低所得者(市区町村民税非課税世帯)、夫が介護サービス、妻が医療サービスを受けている場合



「わが家は対象になるかも……」と思ったら、まずは調べてみる価値ありですね。
 

高額医療・高額介護合算制度の申請方法

高額医療・高額介護合算制度の申請は、加入している医療保険の窓口に行います。国民健康保険および都道府県の後期高齢者医療制度の場合は市区町村の保険課、社会保険などの場合は各健康保険組合などに「高額医療・高額介護合算制度を申請したい」と申し出て、渡された申請届けに必要事項を記入して提出しましょう。

申請にあたっては、次のものを用意しましょう。
 
  • 印鑑
  • 医療保険被保険者証
  • 介護保険被保険者証
  • 介護保険の自己負担額証明書(国民健康保険および都道府県の後期高齢者医療制度以外の場合のみ。市区町村の介護保険課で交付が受けられます)
  • 振込先口座の確認できるもの

申請期限は、基準日(7月31日)の翌日から2年間です。ただし、死亡の場合は、死亡日が基準日となり、申請期限はその翌日から2年間となります。

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