親は重要ではない?
多くの子育て本には、子どもの性格や資質が親の育て方で決まることを前提に、子育てのいろんなノウハウが書かれていますが、本書は、その前提を科学的根拠のない「子育て神話」として否定し、「大人の形成には遺伝子も仲間も重要だが、親は重要ではない」と断言します。大人になったときの性格や資質を左右するのは、子育てではなく、遺伝的要素であり、遊び仲間など所属集団の影響だというのです。本書のもとになった論文は、1995年、アメリカ心理学会で優秀な論文におくられるジョージ・ミラー賞を受賞し、本書は1999年度のピュリッツアー賞候補になりました。暴論にも思える大胆な内容ながら、幅広い研究成果をもとにした論証は説得力がありますし、1930年代に行われた、サルの赤ちゃんを人間の赤ちゃんと一緒に兄弟のように育てる実験など、興味深いエピソード満載です。一読すれば目からウロコが落ちること間違いありません。
■子育ての大誤解
著者:ジュディス・リッチ・ハリス(訳 石田理恵)
出版社:早川書房
価格:2,625円
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