年金

10月から年金額が変わる!~年金改正について(3ページ目)

毎年、公的年金の支給額は4月に見直しが行われますが、平成25年度については10月で変更になります。なぜ、今年度は10月に年金額が変更されるのか、そしてどの程度年金額が変わるのか事例も交えてご案内します。また、今年度以降、実施が予定されている年金改正についても合わせてご案内します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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将来の公的年金の姿~今後実施される年金改正

「社会保障と税の一体改革」のその他の主な改正項目と施行日(予定)は以下の通りです。
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(1)年金の受給資格期間の短縮
現在の老齢年金の受給資格期間を満たすには、原則25年間国民年金の保険料を納付することが必要です。受給資格期間が満たせないと、将来老齢年金が受給できない無年金になってしまいます。無年金になってしまう人が増えるのを防ぐため、施行日以降は受給資格期間が25年から10年に短縮されます。ただし、従来通り国民年金は原則20歳から60歳までの40年間、加入義務があるので保険料はきちんと納付しなければなりません。

(2)健康保険・厚生年金保険の短時間労働者への適用拡大
現行では、パートやアルバイトなど非正規雇用で働く場合、1週間の労働時間及び1ヵ月の労働日数が正社員のおおむね4分の3以上(およそ週労働時間30時間以上)ないと、健康保険・厚生年金の加入対象になりません。
改正後は、
・週の労働時間が20時間以上
・月額賃金8.8万円(年収106万円)以上
・勤務期間1年以上
・学生でないこと
・従業員が501人以上の企業
に該当すれば、短時間労働者も健康保険・厚生年金の加入対象となります。ただし、3年以内には検討を加え、その結果により必要な措置を講ずることも改正法に明記されています。

(3)産休中の厚生年金保険の保険料免除
現行では、産前産後の休業中(産前6週間産後8週間)は厚生年金保険の保険料を負担しなければなりません。しかし、改正により、現在育児休業中に適用されている保険料免除の仕組みが、施行日以降、産前産後の休業中まで拡大されることになります。

(4)父子家庭への遺族年金の支給拡大
現在の遺族基礎年金における「遺族」とは、子どものある妻及び子どものみでした(遺族基礎年金における子どもは18歳年度末未到達または障害のある20歳未満であることが必要)。改正後は子どものある夫も遺族として年金を受給できるようになります。

これらの項目以外にも実施予定の改正項目がいくつかあります。主なものには以下のようなものがあります。

1.未支給年金の請求範囲の拡大
公的年金は偶数月に前2ヵ月分がまとめて振り込まれます(例:8月に支給される年金は6・7月分)。また、年金は受給している人が死亡した月の分まで支給されます。例えば、老齢年金の受給者が9月に死亡すると、9月分まで年金を受給することができますが、8月に受給しているのは6・7月分の年金です。このため、死亡した人には8・9月分の未支給の年金があります。

未支給の年金を請求できる遺族がこれまでは生計を同じくしていた2親等以内の親族でしたが、生計を同じくしていた3親等以内の親族(甥・姪・子の配偶者等)まで拡大されます。

2.法定免除に関する取り扱い
保険料の免除制度のうち、障害基礎年金の受給者などが該当する法定免除は本人の収入などに係わらず保険料が全額免除されます。障害基礎年金は、障害の程度が軽くなると減額されたり、支給停止になる可能性があります。もし、障害基礎年金が失権して、老齢基礎年金を受給することになった場合、法定免除の期間があると老齢基礎年金の年金額が少額になります。

現行では法定免除該当者は通常納付または保険料の前納が利用できず、後から保険料を納付する追納以外は選択できない仕組みになっています。保険料の追納は免除から3年度以上経過すると期間に応じた加算額が保険料に上乗せされ、まとめて複数ヵ月分を納付しても保険料の割引はありません。改正により、障害基礎年金の受給者となり法定免除に該当した場合でも、保険料の通常納付や前納を選択できるようになります。

社会保障と税の一体改革の中で、公的年金制度は改正がいくつか行われることになりました。無年金を未然に防ぐ制度や短時間で働く非正規雇用者への厚生年金の適用拡大など現役世代へのセーフティネット機能を強化する一方、年金の特例水準の解消のため年金支給額の減額など高齢者世代の負担を前提とした制度改正もあります。これらの改正の中には、消費税の増税のタイミングに合わせて施行されるものもあるので、今後の動向をみていく必要があるでしょう。

※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。

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