アイドルなど様々な異業種と積極的にコラボ
この飯伏が才能を発揮するのはリング上だけではありません。DDTは「プロレスはリングの上だけでなくてもやれるはず」という実験もやっています。選手たちがお小遣いで凶器になりそうなものを購入しながら戦う商店街プロレス、山や川を利用し、凶器としてロケット花火が飛び出すキャンプ場プロレスなども敢行。飯伏はそうした試合になると、嬉々として自動販売機の上からアスファルトの道路にダイビングしたり、川にムーンサルトプレスで飛び込んだりするのです。一見、バカげたことに真剣に取り組む、夢中になって楽しむ。そんなDDTのレスラーたちの大人げなさがファンのハートを掴んでいると言っていいでしょう。DDTのプロレスを面白がるパワーは、09年7月には両国国技館に初進出するまでになりました。夏の両国を09~11年の3年連続で成功させると、昨年は日本武道館に初進出。今年は両国2連戦でした。DDTがプロレスファンだけでなく、大会場を満員にするだけのお客さんを取り込めるのは他業種との積極的なコラボレーションという戦略があるからです。
今年の両国も、初日は『DDT万博』と銘打ったアイドル、アーティスト、タレント、ファッション・ブランドとのコラボ興行でした。総合司会に南海キャンディーズの山里亮太を迎え、レスラーが自分が推しているアイドルをセコンドに付けて戦うコラボマッチが実現。おニャン子クラブで一世を風靡した昭和のアイドル新田恵利から御当地アイドルまでリングに登場しました。レスラーがファッション・ブランドのコスチュームをまとってファッション・ショーを行い、LiLiCoが特別リングアナウンサーを務め、坂口征夫のセコンドとして実弟で俳優の坂口憲二が登場。筋肉少女帯の生演奏で選手が入場するという豪華版の興行にはプロレスファン以外のお客さんが足を運びました。
「プロレスを世間に広めていくための大会としては理想の形になったと思います。参加してくれたアイドル、アーティストの人たちの誰もが自分の魅力を出せたと思うし、プロレスも霞んでいなかった。万博と名付けましたが、万博とが国力を示すイベントという意味では、DDTの力を世に知らしめることができた大会だったと思います」と高木三四郎は手応えを語っています。
そして2日目は純然たるプロレスで勝負。それでも“浪速のロッキー”こと元プロボクサーでタレントの赤井英和の愛娘・赤井沙希のプロレス・デビュー戦をプロデュースするなど、しっかりと世間に届く話題を提供しました。
ビッグマッチを成功させたDDTは9月29日に後楽園ホールで今年下半期から2015年初旬までの戦略発表会を行います。また8月24日~9月30日に毎年恒例のDDT48総選挙を行います。もちろんAKB48総選挙のパクリですが、両国ではアイドルたちを含めて117人が出場しており、今やDDTも大所帯。高木は「これは選手たちにとって大真面目な生き残りをかけた戦いになります」と目を光らせています。結果発表は10月2日の新宿FACE大会で行われ、上位20名が10月20日の後楽園ホール大会の本戦に出場、1位には賞金100万円とKO-D無差別級王座への挑戦権が与えられます。
常に貪欲に、前向きに、大人げなくプロレスの面白さを追求するDDTという空間をぜひ会場で体感してみてください!