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富士登山前の注意点! 知っておくべき高山病とは(2ページ目)

山酔い、高地脳浮腫、高地肺水腫などが起きる高山病。1800~2500mを超える地域への旅行や登山で発症する危険性があります。症状と判断の目安、対策法を正しく知っておくことが大切です。予防に使える薬などもあわせてご紹介します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

高山病の発見の仕方とその対策

山酔いに関しては、症状で判断できます。この段階で無理をしないようにしましょう。少し高度の低い場所に戻って体を慣らしたり、しばらく運動しながらその高度に慣れていくと、体のメカニズムとして高所順化、高度順応することができます。しかし高山病になりやすい人は生まれつきですので、下記で解説するような予防をすることが大切です。

高地脳浮腫は、交通検問のアルコール検査で行うような縦列歩行テストで判定します。一直線の線上をつま先とかかとを交互に接触させて歩きます。まっすぐ歩けたらOKですが、直線からずれて歩いてしまうようなら高地脳浮腫の疑いがあります。意識のあるうちに、高度の低い所まで移動しましょう。

高地肺水種は、安静時に呼吸数を測定したり、息切れの状態を見ます。呼吸数が早く、運動していないのに息切れがある場合は、同じく高度の低い所に移動しましょう。

高山病で使う予防薬および治療薬

高山病の予防及び治療に効く薬は3種類あります。

ダイアモックス

ダイアモックスの写真です(三和化学研究所より引用)

よく使われる薬が利尿薬であるアセタゾラミド(ダイアモックス)です。高地に上がる前に内服すると山酔い予防になります。また、山酔いの症状が出てから服用しても、高地に順応しやすくなります。この薬の副作用は少ないのですが、構造が似ているサルファ剤にアレルギーのある方は服用しない方がいいでしょう。

副腎皮質ホルモン剤であるデキサメタゾン(デカドロン、リンデロン)は、山酔いと高地脳浮腫の予防と治療に効果があります。ただし、この薬は症状を抑えているだけですから、効果が切れると症状が出てくることがあります。

血管拡張薬であるニフェジピンは高地肺水腫を起こしやすい人に対して、高地肺水腫を予防し改善します。

それぞれの薬の服用については、推奨されている方法がありますが、処方箋の必要な薬ですので、その用量については医療機関で相談してください。

このように薬を使い分けて予防・治療を行うことも有効ですが、登山でも旅行でも、何よりも余裕のある計画が大切です。

体調が悪い時には、登山を断念すること。登山中も、あまり先を急がず、異変を感じたら一度高度の低い所へ速やかに移動することが大切です。登山と旅行は何より過信がもっとも危険なのです。

さらに高山病は、子どもでは注意が必要です。

子どもでの高山病について次のページで説明します。
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