沈没していく日本と国民の結末とは……
■作品名日本沈没
■監督
森谷司郎(本編)、中野昭慶(特撮)
■主演
小林桂樹、藤岡弘
■DVD/Blu-ray発売元
東宝
草なぎ剛さん主演のリバイバルバージョンのあとに、本家本元のこちら、1973年製作公開の「日本沈没」を観ました。そして、断然こちらをお勧めします。
まだCGもSFXの技術も現代ほど発達していないので、その面でのアプローチはすくないですが、原作の小松左京氏の世界観というならば、十分伝わってきます。
火山の噴火、大地震により文字通り「沈没」していく祖国と国民を救おうと奮戦する、故丹波哲郎氏扮する首相の執念と、救いきれない無力さにうちひしがれる悲哀。あんなリーダーを持ちたいものです。
専門家ゆえにいまできることの限界をしりつつ、それでも「運命」に抗しようとする、藤岡弘氏他科学者たちの英知と努力、命の輝き。
避難民を受け入れるかわりと古美術を要求し、そのくせ「もうこの地図は不要だな」と、地図上の日本を消そうとする外国政治家。映画ながら彼らを殴ってやりたくなりました。
題名からして結末を明かしていますから、映画の流れも話してしまいますが、わたしが好きなシーンは二つあります。
ひとつは、日本列島がほとんど海中に沈んだ後、沈没を食い止めよう孤軍奮闘して潜水艦につめていた科学者のひとりが、甲板にのそのそ出てきて、ぼうっと海を眺めるシーン。もうひとつは、主人公の藤岡弘さんがどこかの大草原を疾走する列車に乗って、車窓を片目で(もう片方は血のにじむ包帯で覆われているので)、睨みつけるシーン。
この二つを観てわたしは、たとえなにがあっても生き残ってやろう。そう誓いました。
そうそう、リバイバルバージョンとこの1973年バージョンでは結末が違います。当時と現代の技術力を考えればその結末には頷けるものがあり、両方を見比べるのも、また面白いのではないでしょうか。