老婆が唄いながら追いかけてくる
「悪魔の手毬唄」

数ある「金田一耕介シリーズ」の中で、わたしは一番この作品が怖いと思います。

ぎょっとするインパクトならば、「犬神家の一族」の湖から男性の生足がにゅっと突き出ているシーンであるとか、頭に日本の懐中電灯、日本刀をぶら下げ走る殺人鬼の「八つ墓村」、またはジャラーンという琴の音に襖をあけてみれば、首をかっきられた新婚夫婦の死体が……。

劇中、老婆のしゃがれ声で「一番目の雀の言うことにゃ~」とうたわれる手毬唄。

それをなぞる様に殺されるうら若き乙女達。

横溝作品と言えばこれ、と言いたくなる日本の古~い因習にしばられたような寒村。

特にその手毬唄つまりは童謡が、いつまでもいつまでも耳にのこるのです。常々日本の童謡は怖いなと感じ、誰に頼まれたわけでもないのに、その真意を解説した本など読み漁っているわたしからすれば、あの独特のマイナー調で囁かれる唄が聴こえてくるだけで、お腹の底が寒くなるような……。

この映画は映像的な衝撃よりも、心理的な怖さが好きな方に、おすすめの作品です。


■悪魔の手毬唄
・監督:市川崑
・主演:石坂浩二
・DVDは発売されています。
・発売元は下記をご参照ください。




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