マドンナから告白されるという意外な展開
■作品名
男はつらいよ 寅次郎夢枕
■監督
山田洋次
■主演
渥美清、倍賞千恵子、村松達雄、三崎千恵子
■DVD発売元
松竹ホームビデオ
八千草薫、大和撫子マドンナからの告白
男はつらいよシリーズの9作目になるわけですが、ここで寅さんに春が訪れます。惚れっぽい性格の寅さんは作中に登場するマドンナに惚れて失恋してしまっていたわけですが、今作ではなんと大和撫子のマドンナから告白されるという意外な展開です。「私、寅ちゃんとなら結婚してもいいわ」
この台詞を聞いて驚いた人も多いのではないでしょうか。そして、このマドンナとなら上手くやっていけるのではないかと思わせてしまう。でも、結婚はしません。なんと、こんな素晴らしい女性を寅さん自身が振ってしまうのです。
恋をされたら逃げてしまうパターンの確立
寅さんにはもったいない魅力的な美人に告白されたのに振ってしまう。実はこれからのシリーズのお約束となります。寅さんはマドンナに恋をされたら逃げてしまうのです。でも、こんな愚直な寅さんだからこそ、昭和の日本人に愛され続けたのです。結婚できるチャンスがあっても、結婚の重責を背負いきれない。男としては格好悪いですが、それでも気ままに笑って生きるのが寅次郎です。昭和の風潮
今年で平成25年。昭和の生まれではなく平成生まれの人も多いでしょう。ですが、昭和という時代は日本にとって大変な時代でした。大きな世界戦争があり、日本も戦争に参加しました。ですが、アメリカ軍主力の連合軍に負けて敗戦。戦後は焼け野原となった街を必死に復興する。その市民の娯楽といえば映画やテレビです。多くの映画やテレビはその時代に合った日本人の風潮を生み出しました。男はつらいよシリーズが人気作となったのも、寅さんの生き方や性格が魅力的だから。でも、格好よい主人公ではありません。むしろ、馬鹿といったほうがしっくりきます。けれども、一生懸命に生きています。
昭和という時代が生んだ寅さんは、視聴者をノスタルジックな町並み溢れる昭和の時代へとタイムスリップさせてくれます。