裕福な家庭に育ちながらも常に虚無感をまとった青年ボビー
『ファイブ・イージー・ピーセス』(1970)
■監督 ボブ・ラフェスソン
■主演
ジャック・ニコルソン、カレン・ブラック
■DVD発売元
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
イージー・ライダーの製作総指揮を取ったバート・シュナイダーとリチャード・ウェクスラー、同じくイージー・ライダーに出演したジャック・ニコルソン、カレン・ブラックが競演。
仕事も家も、女もすべてに生きる価値を見いだせない青年の苦悩の青春ドラマです。
カリフォルニアの石油採掘現場で働くボビー(ジャック・ニコルソン)。
その日が良ければいいという暮らしぶりで、朝から酒を飲み仕事を休んでしまうことも。
同棲中のウエートレスのレイ(カレン・ブラック)は妊娠をし、結婚を望むがボビーは拒絶。
ごたごたをお越し警察沙汰にもなったことで、実家にレイを連れ戻ろうとするが、途中のモテールに彼女をおろし、ひとりで実家へ。
実は彼の実家は裕福なクラシック一家だった。
恵まれたように見える家庭だが、内情は平和ではなく居場所を見つけられない、そして彼女のレイもセックスアピールはあるが教養がなく話が通じない。
どこにも居場所を感じられないボビーの取った行動は……
裕福な家庭に育ちながらもなじめず、一人肉体労働をするボビーは常に虚無感をまとった青年。
きっと一生彼はどこにも居場所など見つけることはできないだろうなと感じさせます。
自分は絶対だけど、周りが理解してくれないと思っているへそ曲がりな青年ボビーと、またその青年にぞっこんで空気の読めない女性レイ。
まさに男性ならドンビキしそうな女性を、カレン・ブラックが見事に演じています。
しょうもないなあ……という感じなのですが、やはりそこがハリウッド映画と違い、ヒーロー不在のアメリカンニューシネマのおもしろさなのです。
また、タミー・ウィネットの曲もとても効果的に決まっています。
(主題歌の「スタンド・バイ・ユア・マン」はもともと彼女の歌った大ヒット曲だそうです)