孤高のバイエルン王の世界とは……
『ルートヴィヒ 神々の黄昏(1972)』
■監督
ルキノ・ヴィスコンティ
■主演
ヘルムート・バーガー、ロミー・シュナイダー
■DVD発売元
EMIミュージックジャパン
バイエルン(ドイツ)王ルートヴィヒ2世の即位(1864年)から死まで(1886年)を史実に基づいて描いた歴史大作です。
この作品を見てしまうと、他の歴史映画がかすむほど
細部にわり緻密に作り上げられています。
完璧な舞台装置、追求し尽くされた主人公の心の有りよう等、
見た瞬間からその時代にタイムスリップ出来、
誰もがバイエルン王ルートヴィヒ2世を身近に感じることが出来ます。
歴史的に見て彼は何をしたかというと、世界的に有名で観光客の
絶えないノイシュヴァンシュタイン城を築城し、
わずか18歳でワーグナーを崇拝し、パトロンになり
見事に歴史的作曲家としたのです。
しかし、当時の彼は孤独でした。
女性を近づけず、側近を愛し、美しい物を身近に置き、生涯独身を貫き
3つのおとぎの城を築城しました。(一つだけ完成)
この映画を見て覚えた言葉が一つあります。
それはパラノイアという言葉です。
彼はそう診断され、最後は変死してしまいます。
争いごとを嫌い、美しい物に酔いしれた一国のメルヘン王の最後は
悲しすぎます。
そんな、孤高のバイエルン王の理解しがたい世界を
自ら貴族の家庭で育った、監督が作り出したのです。
この映画を見て、監督とルートヴィヒの世界に憧れ
彼の3つの城を見に行きました。
本当に史実に基づいて作られた映画だと、再認識させられます。
この映画を見ると誰もが
ヴィスコンティの描いたルートヴィヒが心の中に根付くと思います。
ルートヴィヒはフランス王ルイ14世を敬愛していました。
彼らとお話しをする部屋(肖像画に話す)まで自分の城に
作り食事まで用意したほどです。
イタリア生まれのヴィスコンティがドイツの王様の映画を作り
ヨーロッパは遙か昔からユーロ圏だった事も知ります。
彼らの作り上げた世界に、世界中から観光客がお城見学に来るとは
想像をしたでしょうか?
この映画を見てお城を見学すると
ルートヴィヒ2世のこだわりをリアルに知ることとなるでしょう。