他作品とは一線を画する、圧倒的にメッセージ性のある反戦映画

■作品名
『ジョニーは戦場へ行った』(1971)
■監督 
ドルトン・トランボ
■主演 
ティモシー・ボトムズ、キャシー・フィールズ、ドナルド・サザーランド、ジェイソン・ロバーズ
■DVD/Blu-ray発売元
角川書店


この映画は監督であるドルトン・トランボが1939年に発表した小説を映画にしたものです。

当時は「反政府文学」とされ、発禁処分となり、戦後復刊されるも再び絶版となっています。

そして数十年の時を経て完成した映画は、1971年に公開。

カンヌ国債映画祭審査員特別グランプリほかの賞を受賞しています。


第一次世界大戦に参戦したアメリカ。

ヨーロッパへの戦場へと出征した青年ジョーは、砲弾が炸裂した中で意識を失い、意識を取り戻した時は病院のベットの上だった。

「姓名不詳重症兵第407号」という名前の、延髄と性器だけが残された心臓の動いているだけの身体となって……。

彼を生かしておくのは観察するため。

ジョーは、残してきた恋人のこと、父親のことなど様々なことを回想する。

彼のために涙を流す看護師は、「407号」の胸の上にメリークリスマスの文字を書く。

意識を総動員してジョーは頭を枕に叩き付けモールス信号を送る。
「外に出たい。人々に僕を見せて」と。

それを隠蔽しようとする将校と、なじる神父。

看護師は殺してくれと訴えるジョーの肺に空気を送り込む管を塞ぐが……。


モノクロのシーンと、喜びに満ちたジョーの過去の色鮮やかなカラーのシーンとのギャップが、ジョーの置かれたあまりにも残酷な状態を際立たせています。

全身を包帯で覆われた、もはや人間とは思えない状態になっているジョーの痛ましい姿、そしてラストで「殺してくれ」と訴え、看護師が管を止めるも将校に気がつかれ、阻止されてしまう。

秘密裏に観察のために生かされていることを世の中から隠すために、暗い倉庫の中にただ一人取り残されるジョー。

ラストのジョーの「S.O.S Help me!」には心をえぐられるような思いです。

残酷で辛いストーリーですが、本当に名作です。

戦争をかっこよく美化した作品や、涙を誘うように作られた作品とは一線を画する、圧倒的なメッセージを感じるトランボ渾身の反戦映画です。




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