人気シリーズ化される殺人鬼キャラの元祖的作品
ハロウィン(HALLOWEEN)
あらすじ
1963年、ハロウィンの夜。わずか6歳のマイケルは姉を惨殺する。精神病院に入院した彼の異常性にルーミス医師が気付く。15年後、ハロウィンの日。マイケルは病院から突如脱走。ハロウィンマスクと包丁を盗む。後を追うルーミスだったが、惨劇の幕は上がり……。おすすめの理由
70年代のハリウッドにおけるホラー映画の特徴はジャンルの著しい多様化にあります。これは60年代後半に検閲の規制が緩和されたことに端を発しメジャースタジオが本格的に参入したことで一気に加速しました。オカルト、スプラッター、ゾンビ、SFホラーといったジャンルはこの時期に確立し、また作品に登場した怪物が人気を得てシリーズものになる、といった特徴もこの時期に始まりました。
本作はブギーマン(=マイケル)というホラー史的に重要な人気キャラを輩出しました。
ブギーマンは『13日の金曜日』のジェイソン、『エルム街の悪夢』のフレディと並んで米国ではセットで語られる3大ホラーキャラで、アメリカンホラーに見られる典型的殺人鬼の魁です。
特徴は
- 弱点はあるが基本不死身
- 性行為をした若者が閉鎖空間で襲われる
- 怪物は男性で、表情が見えず刃物が武器
- シリーズ途中で謎が少しずつ明かされるも物語の質が下がっていく
また人々が襲われるシーンのカメラワークの迫力や、観客をドキッとさせるシーンが数分に1回ぐらいあるのは、現在まで続くホラー映画のお約束です。あと音楽のクオリティが高いのは他の70年代名作ホラー同様です。
さてホラー映画のキャラはその時代・文化・社会での抑圧の象徴と言われます。
70年台はベトナム戦争を経て、かつて社会を支えてきた権威やモラルの低下、女性・マイノリティの権利拡大等、価値観の変化に戸惑う白人男性の不安心理が表面化しました。
本作品はこの様な心理が怪物化したイメージを的確に描出したことでリアリティを持ち得たのではないかと思います。
■『ハロウィン(HALLOWEEN)』
・監督 ジョン・カーペンター
・主演 ドナルド・プレザンス ジェイミー・リー・カーティス
・DVD/Blu-ray発売 有
・販売元 JVD