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ルマン24時間の歴史を彩った名車たち(前編)(3ページ目)

90周年を迎えた「ルマン24時間レース」の歴史と名車を紹介。前編となる今回は戦前のヒーロー的なマシンから、耐久王ポルシェが活躍する70年代までをピックアップ。ルマンの歴史と自動車の発展を紐解いていこう。

辻野 ヒロシ

執筆者:辻野 ヒロシ

モータースポーツガイド


栄光のルマン。フェラーリvsフォード

60年代のルマンは世界的にその名を知られる名勝負がいくつも誕生した。その最たるものといえるのが、フェラーリとフォードの長年に渡る総合優勝をかけたビッグバトルだ。

コンストラクターとしてF1に参戦し、スポーツカーメーカーとしても確固たる地位を築き始めていたイタリアのフェラーリ。しかし、経営不振から買収の話が持ち上がり、アメリカのフォードも名乗りをあげたが、エンツォ・フェラーリはこの買収話を拒否。プライドを傷つけられたフォードはレーシングカーコンストラクターのローラと共同開発した名車「フォードGT40」をルマンに参戦させる。
フォードGT40

フォードGT40。60年代の人気車種として選ばれたのはフォードGT40だった。


「フォードGT40」は最高速度がルマン史上初めて時速300kmを越えた車両となり、高いポテンシャルを発揮しながら「フェラーリ330」と対決。互いに毎年のモディファイを行いながら、「フォードGT40」は1966年に総合優勝(表彰台独占)。その後も4年連続で優勝を飾り、フォードはルマンで大成功をおさめた。


耐久王ポルシェの勝利、フランスの復権

60年代のフェラーリvsフォードのバトルに割って入ってきたのが「906」「908」などプロトタイプカーで耐久レースや世界のスポーツカーレースで着実に実力をつけてきたポルシェだ。1969年にポルシェはフォードGT40と同じグループ4クラスに最新のプロトタイプカー「ポルシェ917」を投入。翌、1970年にポルシェは「フェラーリ512S」を大差で退け、初の総合優勝を飾る事になる。
ポルシェ917K

ポルシェ917K ポルシェ初のルマン優勝車となったド迫力の917。初優勝を飾ったのはGulfカラーのワークスでもMartiniカラーのマシンでもなくオーストリアのポルシェ・ザルツブルグチーム。カラーリングはオーストリア国旗がモチーフになっている。この車両は4.5L水平対抗12気筒エンジンを搭載。水平対抗エンジンのルマン初優勝車となった。


70年、71年に「ポルシェ917」が勝利した後、覇権を握ったのがフランスのマトラである。マトラは1968年に3リッターV12エンジンを開発してF1に参戦。彼らのワークス活動のウェイトは徐々にF1からルマンへとシフト。F1で培ったV12エンジンを搭載した「マトラMS670」で1972年のルマンで初の総合優勝を成し遂げると、50周年記念の73年、74年と3年連続で優勝を飾り、イタリアのフェラーリ、ドイツのポルシェを撃破し、ルマンでフランス車復権の時代を作った。
マトラ・シムカ

フランス車に実に22年ぶりの優勝をもたらせたマトラ・シムカ。ミュージアムに展示されているのは1973年の優勝者MS670B。ドライバーはマトラで3連勝を飾ることになるフランスきってのルマンスター、アンリ・ペスカローロと後にF1チームオーナーとしても活躍するジェラール・ラルースだった。



次のページではさらに続く70年代のフランス、ドイツのルマン対決の名車をご紹介。


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