90周年のルマンに過去の名車が集結!

フランス、ルマンで毎年6月に開催されている「ルマン24時間レース」は2013年に90周年を迎えた。1923年に第一回が開催されて、90年という節目になったわけだが、西暦1923年は日本の年号で大正12年にあたる。この年9月に日本では関東大震災が発生し、この復興を機に我が国では自動車の台数が急激に伸び始めた。そんな時代に既に公道を使って24時間レースをやっていたというのだからルマン、そしてレース発祥の地フランスの歴史には改めて驚かされる。
ルマンミュージアム

サーキットに併設されている「ルマンミュージアム」はレース開催時でなくとも立ち寄る価値のあるミュージアム。ルマンの名車が数多く展示されている。



今回は90周年を記念してルマンに集結した「ルマン24時間レース」の名車を紹介しながら、その歴史と自動車の発展を紐解いていこう。


黎明期のヒーロー、英国のベントレー

ルマンにおける自動車レースの歴史は実は第1回ルマン24時間が開催された1923年以前から始まっている。世界初の自動車クラブとして発足したACF(フランス自動車クラブ)がルマン近郊で「グランプリ」を1906年に開催したのを機に、開催地ルマンではサルト自動車クラブ(現在のACO=フランス西部自動車クラブ)が結成された。
ポスター

1923年第1回ルマン24時間レースのポスター (ルマンミュージアム)


そのACOが「グランプリ」に変わる新しいレースイベントとして1923年に開催したのが第1回ルマン24時間レース。プロダクションカーベースの車両で昼夜問わず公道コースを周回し続ける画期的なレースフォーマットだった。その第1回のレースにはフランス車30台に加え、外国車3台が参戦。そのうちの1台がルマン24時間の黎明期を席巻する英国のベントレーだ。
ベントレー3L

自走可能な状態にある89年前の優勝車、ベントレー3L


別の記事「一度は訪れたい!ルマン24時間レースの楽しみ方」でもレポートした通り、2013年のレースウイークには1924年の第2回大会を制した「ベントレー3L」のレース優勝車がかつての第1コーナー区間をデモ走行した。89年前のマシンでもしっかりと動態保存されている事にルマンの自動車史に対する熱い情熱が感じられる。

ベントレーは英国人のW.O.ベントレーが第1次世界大戦後の1919年に設立したスポーツカーメーカー。1923年の第1回大会から、経営不振でロールスロイスに買収される1931年までの間、ルマン24時間に参戦を続け、1927年~1930年には破竹の4連勝を飾るなど輝かしい歴史を刻んだ。
スピード6

ベントレー・スピード6 この車両は1930年の第8回ルマン24時間で1-2フィニッシュを飾り、2位に入った1台。この時代のベントレーを駆ったドライバーたちは「ベントレーボーイズ」と呼ばれ、彼らはベントレーを自費で購入してレースに出場した今で言うジェントルマンドライバー達だった。


ルマンにはドーバー海峡を越えて現在も数多くの英国人ファンが観戦に訪れる。イギリス車の挑戦はルマン24時間の歴史の中でファンを最も熱狂させるファクターでもあり、フランスとイギリスの自動車技術競争は黎明期のベントレーが火をつけたと言っても過言ではない。

次のページでは黎明期のルマンで活躍した世界各国のスポーツカーをご紹介!