本やネットの丸写しにならないための工夫とは?
「身の回りの植物観察」「昆虫観察」「海で出あった生き物観察」など、夏休みに出あった動植物とその解説をまとめた「図鑑づくり」は、「自由研究」の鉄板もの。いろんなネタ本も出ていますし、図鑑やインターネットで調べれば、そのまま丸写しできてしまいそうな情報もあふれています。でも、せっかく時間をかけるのなら、子どもたちにもちょっとだけでもオリジナリティを入れるようアドバイスしたいところ。同じように図鑑を調べてまとめるにしても、「編集」に一工夫することが大切です。
さきほどの「頭がいい子の図鑑の読み方・使い方」第4章「さあ。どんどん図鑑を使ってみよう!」で、親野先生は、ただ図鑑をまる写ししたような自由研究にならないために、対象の選び方が「超主観的」であることを勧めています。たとえば、「かわいい生き物」図鑑という設定でオリジナルのマイ図鑑を作ります。そこには、昆虫も恐竜も動物も植物も入ってかまいません。この「かわいい」という超主観的なひとくくりの編集こそが、子どものオリジナリティであり、しかも楽しくできる部分なのです。
これって、実は、最近書店でも並んでいる新しいタイプの「図鑑」編集に、ヒントがあります。
たとえば、ベストセラーにもなっている、「くらべる」をキーワードにした『くらべる図鑑』(小学館)。大きさをくらべるのに、人間の子ども、ペンギン、カツオ、キリン、ワニ、ダイオウイカ、シロナガスクジラを同じページに並べて見せたり、さらには、新幹線やダンプトラック、帆船までもを並べて見せたりします。
従来のように、「植物」「動物」「宇宙」「乗り物」などのジャンルで一冊にまとめ、体系的に内容を並べるのでなく、ジャンルを超え、あらゆるものを、あるテーマで串刺しにした切り口で編集されているものです。
切り口は自由自在! 自分基準を設定して楽しもう
「くらべる」「分解」などという切り口で、あらゆるジャンルのものを並べてしまうやりかた。ここが最近の図鑑のプロの編集者たちの腕の見せ所です。子どもたちの図鑑作りでも、「実物大」「ミクロの世界」「上から見た図」「足あと」「色」「模様」「さわり心地」「不気味度」など、切り口はなんでもいいのです。調べ物をするときに、切り口に「自分基準」を設定するだけで、ぐっとオリジナリティのあるものになります。
>> 子どもの「大好き!」という偏愛ぶりが世界でたった一つの図鑑をつくります。