モーターが持つ可能性
電気自動車のモーターは、ガソリン車のエンジンと同等の役割を果たすものであり、電気自動車を走らせるうえで、非常に重要な機能を果たしています。電気自動車の中核的な役割を果たすそんなモーターですが、実は私たちの身の回りのモノは、モーターで動く製品であふれています。家庭では洗濯機や冷蔵庫やエアコン、外ではエレベーターやエスカレーターなど、『動かすもの』の大半に電気で動くモーターが使われています。自動車を見ても、パワーウインドウを上下させる小型モーターからハイブリッドカーの走行動力として使用されるモーターなど、1台あたり、モーターの数は大小合わせて約100個程度使用されておりモーターは現代の私たち生活を支えている大きな存在です。これまでモーターは様々な利便性を高めるニーズに応えてきました。そして、今日、新たに出現した「環境性能」というニーズに対し、既存の技術であるエンジンが応えられなくなり、代替としてモーターを主動力とする電気自動車の普及が求められるようになっています。人類は電気によって、そしてその電気で動くモーターによって利便性を手に入れてきました。これからの自動車がそのような熟成された日本の優れた技術を活用することは、ごく自然な流れであると私は考えます。
今回は、モーターについての理解を深めていただくことで、電気自動車がもつ可能性の大きさをお伝えできればと思っています。
効率化が求められる様々なモーターとその構造
さて、一言でモーターと言っても様々な種類があり、電気自動車が使われるシーンや求められるスペックにより適切なモーターが選ばれることになります。モーターには大きく分けて二種類のモーターがあります。直流式のDCモーターと、交流式のACモーターです。(図)DCモーターとACモーターの違い
■低コストかつ簡易なDCモーター
(図)DCモーター
また、電気自動車を始めたばかりのベンチャーでは難しい制御ができないこともあり、市販のコントローラーで稼働するDCモーターが個人を中心に人気を集めています。
■高度な制御が可能となるACモーター
(図)ACモーター