モーターを支える重要な機能

ここまで電気自動車を走らせるうえで、モーターが果たす重要な役割と同時に、そのモーターの種類についてお話しさせていただきましたが、実はそれらモーターを支えるうえで必要となる装置が2つあります。それら2つの装置が果たす役割について、以下でお話しさせていただければと思います。

■インバーターの役割と重要性
(図)インバーター

(図)インバーター

さて、ACモーターを搭載するにあたってモーターと強いつながりを持つインバーターとよばれる部品が必要不可欠です。インバーターは、バッテリーからの直流電流を交流電流に変換する部品として認知されています。しかし電気自動車に搭載されるインバーターは、それだけの役割に留まりません。単に直流から交流へ変換するだけでなく、変換する際に周波数や電流量を調整するのです。車載コンピューターに入力された情報を基に0~10,000 r.p.m.(=回転などの周期的現象が1分間に繰り返される回数を示す単位)という広い範囲にわたって駆動するモーターに適切な電流を流し、モーターの回転数を制御します。

また、回転数を制御するということは、インバーターはモーターを壊さないための安全装置としての役割をも持っていると言えます。インバーターは、ガソリン車を制御する上で中核となるスロットルやキャブレターのような機能を一つに集約した部品として、電気自動車においてその重要性は高く、各自動車メーカーがその確保に注力しているのです。国内の重電メーカーはモーターとインバーターをセットで提案しているケースが多く、これから普及期にかけてモーターとインバーターが一体となった製品が投入されてくることが予想されます。

インバーターの供給先として、三菱自動車は明電舎から、トヨタ自動車はデンソー、豊田自動織機、アイシン・エイ・ダブリュから、本田技研工業は東芝や三菱電機などから調達を行っています。また、東芝は独フォルクスワーゲンに、アイシン・エイ・ダブリュは米フォードにも供給しており、国内インバーターメーカーへの需要は国内に留まりません。モーターの構造はエンジンに比べ簡単ではありますが、制御に関してはそんなに簡単なものではありません。安定した走行を実現するために性能の良いインバーターが不可欠なのは、言うまでもないでしょう。

■モーターの冷却システム
モーターは制御なしに大きな負荷をかけると、発熱して壊れてしまう原因となります。DCモーターが使われている車では、上り坂などで負荷がかかってしまい、モーター自体が発熱して、壊れてしまうことがよくあるようです。ガソリン車のエンジンでも、大きな負荷をかけ続けると段々温度が上がっていきオーバーヒートになりますが、モーターの場合は発進や登坂などの短時間の負荷でもすぐに温度が上がってしまうのです。回転させるために必要な永久磁石には限界の温度があり、一度その温度を超えてしまうと構造が崩壊し、磁石としての機能を失ってしまいます。例えばネオジム磁石の場合は、100℃~150℃あたりが限界なのです。そのため冷却方法がとても重要になってきます。

モーターの冷却は空冷または油冷や水冷で行われます。インバーターはモーターと共通で水冷のシステムが使われることが多いです。液体や気体の熱を放熱する装置であるラジエーターから放出された水でインバーター、モーターを冷却するというものです。インバーターは80℃以下の温度でないと安全ではないため、このような順に水冷を行なっています。多くの自動車メーカーは水冷式を採用しており、制御は余裕を見て100℃前後で行っています。またモーター、インバーター、電池それぞれの最適温度が違うため、独自の個別冷却装置の搭載と監視装置が役割を果たすようになっていくと私は考えています。