貯蓄率が低下した理由1:急速に進む少子高齢化
前ページのグラフを見ると、日本は2000年からの貯蓄率の低下が著しいのですが、これは、高齢者の無職世帯の貯蓄率が急激に低下していることが大きく影響しています。これは少子高齢化社会の日本でしか見られない状況です。65歳以上が総人口にどれだけ占めているかを示す割合を「高齢化率」といいますが、1935年に高齢化率が4.7%だった日本は、以来、上昇し続け、2011年では23.3%にまで及びました。今後も増加を続け、25年には30%程度まで上昇すると予想されています。このスピードは世界一の速さです。
多くの人は現役時代に貯蓄をして、リタイア後に貯蓄を取り崩して生活しています。高齢化社会の現在では、貯蓄に励む勤労世代の人口が減り、貯蓄を取り崩す高齢世帯が大幅に増えているため、貯蓄できる家庭の割合が減少しています。そのため、家計の貯蓄率が低下しているのです。
貯蓄率が低下した理由2:国民1人当たりの所得の減少
高齢化の他に、貯蓄率が低下する原因として考えられるのが、所得の減少です。長引く不景気で給料が伸び悩んでいるにも関わらず、社会保障や税金の負担は増え、手取り収入は減っています。また、契約社員、派遣など非正規雇用で働く人やパート・アルバイトが増え、1人当たりの所得が減少しているのも大きな理由でしょう。そのため、貯蓄に回せる部分が減り、貯蓄率の低下が加速していったようです。
次ページでは、高い貯蓄率を維持しているフランスの例をみてみましょう。