HVT方式は飛び出す絵本がヒント!?
ではHVT方式どんなものなのか。スピーカーはわりと簡単な構造で、おおまかにいうと、振動板とボイスコイル+磁気回路で構成されている。磁気回路の中でボイスコイルがピストン運動し、ボイスコイルに直結した振動板が動いて空気を振動させる。それが音になるわけだ。一般的にボイスコイルと振動板は積み重なるようにくっついている。そして、ボイスコイルと振動板は、同じ方向に動く。そのため、どうしても振動板の厚み+ボイスコイルの厚みぶんの高さが必要だ。
ところがHVT方式はボイスコイルと振動板の間にリンク機構を加えることで、ボイスコイルが動く方向と振動板が動く方向を90度変えている。飛び出す絵本からヒントを得たそうだが、ボイスコイルが左右に動けば振動板は上下に動くというわけだ。しかも振動板はフラットタイプ。これにより、薄さ45ミリというスリムなボディを実現している。
ボディの振動が少ないのも両面駆動の良さ
TS-WH1000Aの場合は、21センチ×8センチの長方形の振動板を、上下両面に備えた両面駆動方式を採用。ボイスコイルもウーファーユニットの左右両側にあり、振動板を駆動する。ウーファーユニット自体の厚みは27ミリだ。このユニットが発する低音は、ボディのサイド3面から放出。ウーファーというと、一般的には低音のエネルギーによって、本体自体も振動するのだが、TS-WH1000Aは両面駆動によってエネルギーを相殺するのか、ボディ自体の振動も少ない。これも特徴のひとつで、シート下等の車内に設置しても、不快な振動がフロアから伝わってこない。
レスポンスの良い低音が心地よい
TS-WH1000Aのオン/オフを繰り返して聴き比べてみると、従来のサブウーファーのように音圧を感じるタイプではないが、TS-WH1000Aをオンにすると、低音のエネルギー感と解像度が格段に高まるのがわかる。それに伴って、中高域の質感も高まるから不思議。200ヘルツあたりの、サブウーファーとしてはわりと高い周波数までフラットに再生できるので、組み合わせるスピーカーとのつながりも調整しやすそうだ。サブウーファーを加えることで、かえって違和感が出てしまうこともあるのだが、このTS-WH1000Aなら、そんな心配はなさそう。より楽しく、心地よく音楽が楽しめる。純正システムを含め、既存のサウンドシステムに物足りなさを感じていたら、ぜひシステムに加えることをおすすめしたいパワードサブウーファーだ。