チョコレートは秋冬にいただくイメージがありますが、「こんなチョコレートケーキなら夏に食べたい!」と思わせてくれる今年の新作が「エグゾティック」です。
真ん中の黄色い部分は、パイナップル、マンゴー、バナナ、パッションフルーツをバニラと百花蜜でコンポートし、少しとろみをつけたもの。フルーツの繊維感をあえて残して、甘味と酸味のバランスの取れたアクセントとなっています。その上には、ほろ苦く煮詰めた塩味の生キャラメルがうっすらと引いてあります。これらをやさしく包み込むのは、ミルクチョコレートの軽やかなムース。フランス・カオカ社のカカオ分32%というやさしい風味のチョコレートを使い、夏でもすっきりといただける味にしてあります。これらを口に入れると、チョコレートムースのまろやかな甘味と、フルーツコンポートの酸味がとけあい、その後で、じんわりと広がってくるキャラメルの苦みが締めくくります。口どけの時間差を利用することで、スッキリとキレがあり、余韻の残る夏らしいチョコレートケーキとなりました。
底にはサックリとしたサブレ生地、外側はシンプルなグラッサージュショコラで見た目もシャープに仕上げています。
「モンブラン」もやはり、秋が本番というイメージが一般的です。お店でも、秋には濃厚な栗の風味を味わえるモンブランが人気ですが、この「モンブランレジェ」は、毎年、春夏バージョンとして提案しているもの。その最大の特徴は、名前どおり「レジェ=軽さ」にあります。
マロンピューレは、フランス・アンベール社のものを使用。ここに生クリームと少量のカスタードを加えてマロンクリームを作ります。生クリームの量はマロンピューレの約1.4倍で、しっかりと泡立てて空気を充分に含ませるため、軽いクリームに仕上がります。このマロンクリームの下には、砂糖を通常の半分ほどに控えてホイップした生クリーム。その下には、クリームと同じマロンピューレを使ったマロンムース。マロンクリームとムースには、ほんの少しネグリタラムを加えて香り付けすることで、後味のキレのよさを出しています。土台には、サクッとしたシュトロイゼル生地。しけらないようムースとの間にスポンジを挟んでいるのも、細やかな気遣いです。
トップにのっているのが、実は栗ではなく、マロンピューレを丸めて栗の渋皮煮のように見せたものというのが、ちょっとした茶目っけで、可愛らしいですね。和菓子の栗餡のような濃厚な風味で、何気なく癖になる味です。
見るからに華やかな色彩のケーキ「ヴェルジェ」は、倉嶌シェフが2年ぶりに作ったというアプリコットを使った新作。“果樹園”を意味する名前のとおり、杏の味わいを主役とした、夏にぴったりの一品です。チョコレートスポンジの土台の上は、アプリコットのムースリーヌ。カスタードクリームとバタークリームを合わせたムースリーヌは、フランス菓子ではよく使われるしっかりとコクのあるクリームです。それがアプリコットの酸味と合わさることで、まろやかな甘酸っぱさに。そして、バターが入っているため少し口どけのスピードが遅く、アプリコットの味わいがしっかりと長く残るよう計算されています。その上に、きゅんとした酸味で全体を引き締める、アプリコットゼリーの層。その上の白い部分は、ムースフロマージュ。クリームチーズも北海道産のやさしい味の物を選び、あくまでアプリコットを引き立てるよう組み立てたそうです。表面もアプリコットのグラッサージュで艶やかに仕上げています。
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