毎ローンの支払い以外に年間50万~70万円が消える
2015年度における住宅金融支援機構の調査データによると、住宅の購入価格は 、マンションが全国平均で4250万円、首都圏では4827万円、建売住宅が全国平均で3320万円、首都圏では3569万円とのこと(すべて「フラット35」利用者)。マンションはとくに首都圏が前年度比10.2%増と大きく値を上げましたが、建売住宅は微増にとどまりました。ともあれ、額が額ですから、住宅は一般的にローンを組んで購入します。その際、当然のことながら、その支払いは家計負担を考慮しての額となっているはず。しかし、往々にして忘れがち(あるいは、忘れてはないがあえて見て見ぬふり)なのが、ローン以外のランニングコストです。
では、何がどのくらい発生するのか。マンションを例に考えてみましょう。まずは、毎月の管理費。エントランスやエレベーターといった共用部分の清掃、点検、電気代、管理員の人件費などがここから捻出されます。修繕積立金は、外壁、屋上などの保守、修繕費用のため、毎月積み立てるもの。クルマがあれば駐車場代も発生します。固定資産税、都市計画税といった税金も小さな額ではありません。また、個人差はありますが、長く住めば、水回りやキッチンなど、リフォームもいずれ必要となるでしょう。
これらランニングコストを合計すれば、リフォームを除いても年間50万~70万円(表参照)。住宅ローン以外にこれだけ必ず計上しなければ、買ったばかりの家にも安心して住めない、というわけです。
マンションより割高な一戸建ての修繕費用
マンションを例にランニングコストを見てきましたが、では一戸建てならもう少し抑えられるでしょうか。確かに、管理費も修繕積立金もありません。駐車スペースがあれば駐車場代も不要。しかし、どんな家も年々老朽化しますから、修繕・リフォームは避けて通れません。しかも、外壁の塗装や屋根の防水処理など、大規模に行うマンションよりも割高。平均10年ごとの外壁の再塗装だけでも200万円前後は覚悟すべきです。そして、一戸建ての場合、そういった費用は、自分で計画的に準備しておかなくてはなりません。しかし、誰も徴収に来ませんから、ついつい後回しになりがち。結果的に資金が足りず、修繕を見送る。あるいは、リフォームローンを借りて、さらにローン負担が増えるケースもあるでしょう。 また、購入したのが中古住宅であれば、物件価格は新築より低くても、そういった費用が前倒しで発生する可能性が高いと言えます。
こういったリスクを避けるには、ランニングコストを計上した上で、住宅を購入をすることです。ローンの支払いは年収の25%以内、とよく言われますが、それはあくまで目安。ローンにランニングコストを加えても、家計は赤字にならず、なおかつ少額でも貯蓄できるかどうか。そういったことをしっかり考慮して、住宅購入の予算を決めることがマネープランにとってとても大切なのです。