障がい者が働く場を作り、みんなが喜ぶ企業
素晴らしい業績のツムラですが、もう一つ、優れた指標があります。障がい者雇用率です。企業における障がい者雇用率は、「障がい者である労働者数÷労働者総数」として計算されます(注)。
【図2 ツムラの障がい者雇用率の推移】
平成25年4月からは、常用雇用者が50人以上の事業所において、障がい者雇用が義務づけられています(法定雇用率2%)。それに対してツムラの障がい者雇用率は、3.93%(2011年度)と法定雇用率を大きく上回っています。
業績が良いから障がい者雇用をする余裕があるのか、障がい者にうまく活躍してもらえる仕組みを作ったからこそ業績がよいのか、どちらが先なのかわかりません。また、会社の業績と障がい者雇用率と関係があるかも定かではありません。
ともかく障がい者の方たちが活躍して、会社を支えていることは間違いなさそうです。
実は、私は大学生の頃、知的障がいや発達障がいの方たちと余暇を一緒に過ごすボランティア活動をしていました。そのとき、小学生、中学生、高校生だった子どもたちも、今は成人しています。ですが、働きたくても働く場がない方がいます。またその親御さんや兄弟姉妹がいらっしゃいます。
そんな実情を経験してきたからこそ、ツムラのような企業の存在が、いかに障がい者の人たちの希望になっているかを、感じることができます。ぜひ、応援したい企業です。
障がい者雇用率の高い会社と業績
それでは、ツムラの他に障がい者雇用率の高い企業には、どんなところがあるのでしょうか。ファーストリテイリングは、障がい者雇用率が6.43%と非常に高くなっています。業績についてはコメントする必要もないでしょう。
【図3 ファーストリテイリングの株主価値と株価の推移】
企業が業績を伸ばし、規模を大きくして、障がい者をたくさん雇用してくれる、そんな社会が実現しつつあるのだと思います。
個人投資家のみなさんによる株式投資が、世界を変えます。
(注)
各企業における障がい者の実雇用率は、厳密には下記のように計算されます。
実雇用率=(障がい者である労働者の数+障がい者である短時間労働者の数×0.5)÷(労働者の数+短時間労働者の数×0.5)
障がい者である労働者の数は、身体障がい者、知的障がい者、精神障がい者からなります。
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