「オープン外構」とは、門扉や塀の代わりに低い植栽をしたり、あるいは植栽すらもなくしたりすることで、敷地を開放的に見せるスタイルです。街並み景観への意識の高まりや住宅の洋風化もあり、近年はオープン外構にする家が多くなっているようです。ただし、既存住宅地の場合には道路に接する面だけをオープンにして、隣地との間には塀やフェンスを設けるケースが大半でしょう。それに対して、当初から景観計画を取り入れた開発分譲地では、隣地との境界部分も含めてすべての面をオープンにしている場合があります。オープン外構の家が並んだ住宅地は、見栄えが良く素敵に感じられることも多いだろうと思います。
注文住宅を建てるときには、オープン外構にするのか、あるいは門扉や塀を設けた「クローズ外構」にするのか、迷うことがあるかもしれません。建売住宅や中古住宅を購入するときでも、現状のオープン外構で良いのかと考えてしまうことがあるでしょう。積極的にオープン外構とする場合だけでなく、予算の都合により、あるいは敷地の広さや車の出し入れを考えて、オープン外構にせざるを得ないという場合もありますが、いずれにしてもそれぞれのメリットとデメリットとをよく考えてみるべきです。
「オープン外構は見通しが良いから防犯上で有利だ」という話をしばしば聞きますし、不動産業者からそういった説明を受ける場合も多いでしょう。確かに高い塀に囲まれた家と比べて不審者が隠れるスペースは少ないものの、見通しの悪い既存住宅地の中に1軒だけオープン外構の家があっても、やはり見通しが悪いことに変わりありません。敷地に侵入しやすいぶん、オープン外構の家が窃盗犯の標的になりやすいため、被害に遭うケースも意外と多いようです。街並み全体の見通しが良くなければ防犯の効果は薄いのでしょう。
また、見通しの良い街並みであっても、夫は会社勤め、妻は仕事や買物、子どもは学校など、平日の昼間は留守宅が並び、道路も人通りが途絶えるような場所であれば、窃盗犯が活動しやすい環境になりかねません。「オープン外構だから安全」といった思い込みは捨てて、オープン外構でもクローズ外構でも、建物の防犯対策はしっかりと考えるべきです。オープン外構に防犯上のメリットがあるかどうかは、周囲の住宅の状況にもよるのです。
近所の子どもが勝手に敷地へ入り込んで遊ぶ、サッカーボールや野球のボールが飛んできて車に傷をつけられた、セールスを含めて知らない人がしょっちゅう敷地に入ってくる、毎日のように近所の奥様たちの井戸端会議の場にされる、敷地内で犬がフンをしていく、庭の水道を勝手に使われたなど、オープン外構をめぐるトラブルも多いようです。近隣住民のマナー意識や思いやりの欠如に起因するケースも少なくないでしょうが、オープン外構にする場合には、道路と敷地の境界を明確にしたりタイル敷きにしたりして領域を主張する、低い生垣を造る、道路面と段差をつける、あるいは砂利敷きにして第三者が入りづらくするなどの、くふうをすることも大切です。
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