読解力は15位→8位へ
2010年12月に発表された国際的な学力調査PISA2009国際的な学力調査の結果は、数学的リテラシーと科学的リテラシーで順位がほぼ横ばいだったものの、読解力は15位→8位へと大幅に向上しました。これで、PISA2000以来、久々に3領域ともベスト10入りを果たすことができました。PISA2009の上位10ヶ国。日本は、3領域ともベスト10入り。
2002年から全面実施されたゆとり教育。学力低下への懸念から全面実施される前から批判され続け、2002年には当時の文部科学大臣だった遠山敦子氏が学力向上をアピールする「学びのすすめ」を発表。2003年には早くも指導要領が一部改訂されるなど、早々に「脱ゆとり」へと方向転換を迫られました。
学校現場での対応もすばやく、2003年の「百ます計算ブーム」に代表されるように、読み書き計算の重要性が再認識されたのもこの時期でした。朝、一時間目の授業が始まる前の10分程度の時間帯を読書の時間に当てる「朝読」は多くの学校で取り入れられました。
PISAショックとは?
その成果があってか、今回の順位向上へとつながったわけですが、ここでおさらいもかねてこれまでの経過を確認してみましょう。PISA2000の上位10ヶ国。数学的リテラシーで世界トップだった。
PISA2000では、読解力こそフィンランドがトップでしたが、数学的リテラシーでは日本が堂々の1位、科学的リテラシーでは2位と、まずますの結果でした。この後、PISA2003、PISA2006と実施されるごとに、日本の順位は低下こそすれ、上がることはありませんでした(PISAショック)。
これまでの順位の推移をまとめたのが次のグラフです。
PISAでの日本の順位の推移。いずれの領域も2006年の結果は過去最低の順位。
同一問題の正答率の変化。順位だけでなく正答率も2006年が過去最低だった。
ところが、PISA2009では、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3領域で向上しているのも確かです。