全てはここから始まった。劇団四季創生期の2作品
劇団四季60年のあゆみがギュギュっと凝縮
さて、前のページでは主にミュージカル関連の展示についてご紹介しましたが、こちらの四季演劇資料館で、是非チェックして頂きたいのがドラマ(=ストレートプレイ)コーナーです。劇団四季=ミュージカル劇団という印象をお持ちの方も多いかと思いますが、元はジャン=アヌイやジロドゥ等のフランス演劇を上演するために浅利慶太氏が1953年に仲間と共に創立したのが劇団四季で、四季は現在でも積極的にストレートプレイの上演を続けています。 上の写真は劇団創立当時に上演された「アルデールまたは聖女」と「アンチゴーヌ」の2枚のポスター。下部に入っている広告に時代を感じますね。
「古典劇」 「現代海外演劇」 「ミュージカル」 「こどものためのミュージカル」という今の4路線がほぼ確立されたのは、創立から約20年後の事だそうで、ドラマコーナーに展示されている資料や写真からは、四季の基盤を作ったメンバー達の熱い想いや未来を信じる力が感じ取れます。
こちらに展示されている小道具や装置、衣装の一部も本当に精巧に作られており、演劇やミュージカルだけでなく、美術や服飾に興味のある方にも楽しんで頂けるのではないでしょうか。
中でも見どころは、レパートリー作品の舞台模型の数々!これはもう1つ1つが美術作品と言ってもいい素晴らしいクオリティ。その全てを細かいところまで見ていると、半日くらいかかりそうな勢いです……凄い!
詳細に作りこまれています。「かもめ」のミニチュアセット
上のミニチュアセットは1980年にチェーホフの「かもめ」を上演した時のもの。実際の舞台には水が張られたのでしょうか。舞台の上部には縮小サイズの照明まできちんと設置され、向きも1つづつ変えられています。スタッフさん、渾身の作!
……と、10のエリアに分けられている館内を、懐かしい気持ちや若干荒い鼻息と共に見せて頂いた訳ですが、ミュージカルから四季の作品に触れた方も、まだ劇団が専用劇場を持つ以前から四季の客席に座っていた方も、様々な角度から楽しめるかなり熱い展示内容だと思います。
R60世代の方に特にお薦めなのは、越路吹雪さんがリサイタルの時に着用した衣装や舞台で使われたピアノの展示(「愛の賛歌」の手書き楽譜もありました! )。ミュージカルが好きなお子さんは「ライオンキング」のマスクを間近で見たり、ビジュアルコーナーでの映像チェック、なんていうのもいいかもしれません。
劇団四季60年のあゆみがギュギュッと詰まった……まるで宝石箱のような四季演劇資料館。
近くにはNHKの朝ドラ「おひさま」のロケ地になった大王わさび農場や、日本最大のダム・黒部ダムもどどーんと控えていますので、安曇野や大町、黒部観光の折には是非足を運んで頂きたいと思います。勿論、この場所を最大の目的に訪れるのもアリ、ですよ! 安曇野の美しい自然の中、観劇とは一味違うあなただけの想い出をアルバムに書き加えてみてはいかがでしょうか。
『四季演劇資料館』
〒398-0001 長野県大町市平1955-205
TEL 0261-23-6112
自動車利用:安曇野ICから 34km 50分
自動車利用:長野ICから 42km 70分
鉄道利用:JR大糸線信濃大町駅下車 タクシー 15分
鉄道利用:JR北陸(長野)新幹線長野駅下車 特急バス 60分 →タクシー 15分
開館期間: 4月最終土曜日~11月最終日曜日(冬季は深雪のため休館)
開館時間: 10:00~17:00
休館日: 月曜日/祝日の翌日(月曜が祝日の場合は開館、翌日休館)
入館料: 大人 600円 小人(小中学生) 300円
☆創立60周年!「四季演劇資料館」を大解剖!後篇では、四季の舞台を支える倉庫の内部をリポートします!