舟状骨骨折とは
舟状骨は手根骨の1つの骨で、母指に近く手関節を形成しています。この部位の骨折を舟状骨骨折といいます。舟状骨は手根骨の一つです。手根骨で一番大きい骨で、骨折の頻度も高いです。
手を強くついて手関節を背屈したときに発生します。疲労骨折で発生することもあります。この骨折は見逃されやすく、また癒合しにくい骨折として有名です。
舟状骨骨折の年齢、性差
運動、事故などに伴い発生する骨折ですので、あらゆる年齢層に発生します。一般の人にも発生しますし、スポーツ選手などでもみられます。男性に多い骨折ですが、女性にも発生します。舟状骨骨折の症状
手関節の運動時痛、嗅ぎタバコ窩の圧痛が特徴的です。嗅ぎたばこ窩と呼ばれるくぼみ。舟状骨骨折で痛みが生じる部位です。
舟状骨骨折の診断
■単純X線単純X線写真は放射線被爆量も少なく、費用もわずか。その場で撮影も終了し当日説明を受けられるので、整形外科では必ず施行します。
手関節単純X線写真。舟状骨に骨折が疑われます。
手関節を尺屈させて撮影したX線写真。
舟状骨骨折が明瞭に診断可能となりました。
■CT
単純X線で診断がつかない場合でもCTであれば診断可能です。
手関節部CT像。CTでは骨折は明らかです。
断層写真から計算で、3次元画像を作成できます。
3次元CT写真。
舟状骨骨折の治療法
舟状骨骨折の治療として保存療法、手術療法の2つの治療法があります。■保存治療
初期治療として骨折した骨をもとの状態に戻す整復を行い、シーネ、ギプスなどの固定を行う保存治療をまず行います。整復の状態がよければ、このまま時間をかけて骨折した部位の骨癒合をはかります。長期間の固定が必要となりますので、運動、仕事の制限があります。
●鎮痛薬
ボルタレン、ロキソニンなど非ステロイド消炎鎮痛薬(NSAIDと省略されます)を用います。
・ボルタレン……1錠15.3円で1日3回食後に服用。副作用は胃部不快感、浮腫、発疹、ショック、消化管潰瘍、再生不良性貧血、皮膚粘膜眼症候群、急性腎不全、ネフローゼ、重症喘息発作(アスピリン喘息)、間質性肺炎、うっ血性心不全、心筋梗塞、無菌性髄膜炎、肝障害、ライ症候群など重症な脳障害、横紋筋融解症、脳血管障害胃炎。
・ロキソニン……1錠22.3円で1日3回食後に服用。副作用はボルタレンと同様です。
どちらの薬でも胃潰瘍を合併することがありますので、胃薬、抗潰瘍薬などと一緒に処方されます。
■手術治療
骨片が多数あるもの、骨欠損があるもの、整復した骨片の位置が正常な位置関係にない場合、保存治療で癒合しない場合などが手術の対象となります。
手術により骨折した舟状骨を金属のネジで固定しました。
●抜釘術
術後に骨折が治癒した後に固定具を除去します。抜釘術(ばっていじゅつ)と呼ばれます。