意外と難しい壁紙選び、リフォーム前と変わらないという後悔の声も
簡単なようでいて意外と難しいのが、壁紙の張替えリフォームです。たくさんのサンプルからどう選んでいいか解らない、天井用クロスって何?無難な白色なのに浮いて見える、以前とあまりイメージが変わらないといったような悩みや後悔の声を耳にします。そこで今回は、よくある疑問にお答えしながら、失敗しない壁紙の選び方をご紹介します。
Q1.天井の壁紙は「天井用」から選ばないといけないの?
天井用クロスのデザイン例。どんな部屋にも合わせやすいようシンプルなデザインが多い(サンゲツ)
意外に多い悩みが、壁は力を入れて選んだけれど、天井はよくわからないまま適当に選んでしまったというものです。天井の壁紙はとりあえず白い色ならいいだろうと適当に選ぶ人も多く、中にはお任せしますので選んでおいて下さいと言う人もいます。
しかし天井の壁紙は、選び方次第で部屋のイメージが変わるだけでなく、空間の安定感や天井高の感覚なども左右する大切なポイントです。
またよく受ける質問に、天井の張替えリフォームの際は天井用の壁紙から選ばないといけないの?というものがあります。壁紙のサンプルブックには「天井用クロス」と名付けられたページがあるのですが、種類が少ないため、気に入ったものが見つからず、他から選びたいけれど大丈夫か不安になる方も多いようです。
そもそも天井用壁紙・クロスとは?
まずは天井用でも壁紙と呼ぶのか、クロスとどう違うのかという疑問です。答えはどちらでも問題なく通じます。壁紙とは壁や天井の内装を仕上げるための布やビニール、紙でできたシートの総称です。
クロスとはcloth、装丁するものを意味します。主に建築業界で使われている言葉で、やはり表面に張り付けるビニールや布の内装仕上げ材のことを指しています。床に使用する塩ビのクッションフロアシートを床クロスと呼ぶこともあります。
さて、サンプルブックにある天井用の壁紙・クロスとは、張りにくい天井でも平滑に仕上げやすいよう厚手で、どんな色の壁にも合わせやすい白色系で、部屋に方向性を作り出さないよう柄の向きが無く、空間を豪華に見せる柄がラインナップされています。
つまり天井用壁紙・クロスとは、誰が選んでも無難にコーディネートできるようセレクトされたものということ。天井に合う基本を知っていれば、他のページから選んでも大丈夫です。
A1.天井の壁紙・クロス選びの原則は3つ、暗めでもOK
天井の壁紙・クロスの選び方の基本は、- 厚手であること
- 向きの無い柄であること
- 壁と合う色であること
の3つです。せっかくのリフォームです。これらのポイントをシッカリ押さえて、自分らしい天井の壁紙・クロス選びにチャレンジしてみましょう。天井に白色を選ぶことが多いのは、部屋を明るく、天井を高く見せる効果があるからです。
シンプルな印象の部屋にしたい場合は、天井と壁に同じ壁紙を選んで張るとスッキリします。また壁が吹き付け調なら天井も吹き付け調を選ぶなど、素材感を揃えるのが上手にコーディネートするポイントです。
寝室の天井は少し暗めの壁紙を選ぶと落ち着いて安らげる。床、壁、天井を同系色のグラデーションで選ぶとまとめやすい(一級建築士事務所 OfficeYuu)
天井は白と決まっているわけではありません。寝室や和室は、少し暗めの壁紙を選ぶと落ち着いて安らげる部屋になります。
Q2..リフォームで無難な白色の壁紙を選んだはずなのに浮いている?
壁紙の張替えリフォームで選ぶ人が多いのは、やはり白色です。白い壁紙は、どんな床や家具とも合わせやすく、飽きが来ないということで人気があります。特にここ10年ほどはナチュラルモダンなインテリアが世界的に人気になっているため、壁だけでなく設備機器類も白が人気です。
しかし白色の壁紙は、本当にそれがよくて選んだというより、無難にしようとした結果そうなっただけという声も耳にします。しかも無難なはずの白色の壁紙が、仕上がってみたら何となく部屋に合わない、浮いて見えるという失敗に陥ってしまうことがあるのです。実はこれは、張替えリフォームならではの失敗です。
リフォームで白色の壁紙が浮いて見える理由
色は小さな面積では暗く見えても、大きな面積になると明るさが増します。小さなサンプルでは薄いベージュに見えても、壁に張って大きな面積になると真っ白に見えることがあります。特にリフォームでは、ドアや枠は古いままということが少なくありません。長く使ってきた家具やカーテン、照明器具、エアコンなどもあります。そんな中、壁紙だけが真っ白になれば、壁の白さが更に強調され、浮き上がって見えてしまうのです。
A2.ナチュラルな白色を選び、実際に壁に張って見比べて
リフォームで壁紙の張替えをする際は、青や灰がかった無機質な白色ではなく、温かみのあるナチュラルな白やグレーを選ぶと、古い部分との馴染みがよくなります。淡く色を付けたい場合は、サンプルではちょっと濃すぎるかな?と感じるくらいがちょうどいいことが多いので、濃いめを意識して選びましょう。
ウォームカラーの白色やグレーは古い部分とも馴染みがいい。淡く色を付けたい場合は、サンプルではちょっと濃く見えるくらいでちょうどいい(シンコール)
サンプルブックからイメージ通りに選ぶコツは、小さなサンプルだけで選ぶのではなく、少し大きめの見本でじっくり確認することです。リフォーム会社に依頼すれば、A4サイズ程度の大きさの実物サンプルがもらえます。
実物サンプルをもらったら、テーブルの上で見るのではなく、実際に壁に貼って選びましょう。壁紙はテーブルの上で見る時と、壁に貼った時では見え方が違います。さらに光源の色によっても見え方は変化します。昼間の明るい時だけでなく、夜に照明に照らされた時の見え方も確認しておきましょう。
また壁紙が新しくなると、上に乗っているスイッチやコンセントの古さや汚れが目立つようになります。一緒に新しく交換しておくといいでしょう。
Q3.柄物の壁紙を使ってみたいけれど、うるさくならない?
柄物の壁紙に憧れはあるけれど、選び方が難しそうなのであきらめた、うるさくならないか心配でつい無難な無地を選んでしまったという声をよく聞きます。
確かに、部屋中の全部が派手な花柄だったり、狭い空間に大きな柄がいっぱい広がっていたりすると、うっとうしく感じます。
しかしせっかくの壁紙の張替えのチャンスです。上手に柄物を使いこなせば、部屋のイメージは格段にアップ!柄物の壁紙の使い方のポイントを押さえて、小さなところからチャレンジしてみましょう。
部屋の大きさと柄とのバランスが鍵
柄物の壁紙を上手に選んで使いこなす基本は、- 部屋の大きさ
- 柄の大きさ
- 部屋の中で柄物の占める面積
この3つのバランスを整えることです。例えばリビングなどの大きな部屋の全面に小柄を使うと、ちらちらと目についてうるさくなります。そんな場合は貼る面積を減らすか、柄を大きくすることでバランスが取れ、落ち着いた空間になります。
小さな部屋に柄を使いたい場合は、小柄なら全面でも大丈夫。大柄を使いたい場合は圧迫感を感じさせないよう貼る面積を減らしてバランスを取ります。
A3.部分使いでバランスが取れる!柄面積を小さくするのもコツ
壁紙のリフォームで、柄物を手軽にコーディネートする方法としておすすめなのが、部分張りのテクニックを使うことです。壁4面全てに貼るのではなく、一面だけ、上半分だけ、マンションなら柱部分だけなど、柄の占める壁面積を限定すれば、小さな部屋に大きな柄を使っても、大きな部屋に小さな柄を使っても大丈夫です。壁の1面だけならこんなに華やかなブルーの花柄もバランスよく決まる(リリカラ)
そして上手くまとめるもう1つのコツは、派手な色は小さな面積で使うこと、地味な色は大きな面積で使うこと。自然に空間のバランスが取れます。
ただし柄の大きさや見え方をよく確認するために、できるだけ大きなサンプルで選びましょう。また美しい柄を揃えた輸入物は、壁紙自体が薄かったり、表面の光沢が強かったり、リフォームでは使いにくいタイプであることも。張替えには不向きで、新しい下地を必要とする壁紙もありますので、選ぶ時には業者によく相談しましょう。
また費用をあまり掛けずに部屋をセンスアップさせてくれるのが、アクセントクロスを使うテクニックです。基本のノウハウを覚えておけば、リビングや寝室はもちろん、トイレにも応用できますので、あわせてご覧ください。
後悔のない壁紙選びのために
さてここまで壁紙選びのポイントについてご紹介してきましたが、張替えの時期の見極め方や事前準備など、事前に押さえておきたい基本知識を下記でご紹介しています。リフォーム前に一度ご覧ください。多くの人が後悔した壁紙張り替えリフォームの失敗事例は下記でご紹介しています。
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