イージー・ライダー
カスタムされたバイクに星条旗のデザイン、マリファナの香りと供に、真っすぐに地平線に続くハイウェイを滑走する、そんな2人の若者、キャプテン・アメリカとビリーの旅の記録です。広大なアメリカの土地、その抒情的な美しさと風情の中、自由を求めて颯爽とさすらう二人に憧れを抱いてしまいます。BGMで流れるロックンロールの名曲達が、さらにこの国の新しい文化の夜明けを予感させる、60年代の最後を飾るにふさわしい青春映画?と思わせるや……。
ストーリーは至って簡単、マリファナを密輸し大金を得た二人の若者が、南部で催される謝肉祭を観に行く、その日々を綴っているだけなのですが、実はこの映画こそ、ベトナム戦争の影響や人種差別、その他諸々アメリカが抱える苦悩と誤算、偏見等が皮肉に込められた風刺的内容なのです。
南部の目……、その他所者を忌み嫌う風習は、何もアメリカだけではなく、日本の至るところにもある事を改めて自覚します。震災の事もあり、人々が助け合い横に繋がろうと確かに一時期はそう見えた感もありますが、あれから、やっぱりヒトは自分のテリトリーが可愛くて、他人の畑が青く見え、それでも立ち入り禁止の看板を好んで掲げようとする、どうしようもない「タチの悪さ」みたいなものを痛感します。縄張り意識とイノベーションとの間で、一体どこへ向かおうとしてるんだろう?
もし生き場に悩む事があるのなら、この映画が滔々と語るメッセ-ジを受け入れてみるのもいいのではないでしょうか?
神様が存在しないのは、誰も発明しようとしないからだ!
■イージー・ライダー
・監督:デニス・ホッパー
・主演:ピーター・フォンダ、デニス・ホッパー