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収納代行の問題

今回は、「収納代行」と呼ばれる、各区分所有者から徴収された管理費等がどのように収納・保管そして管理されているのかについてお話していきます。

佐藤 益弘

執筆者:佐藤 益弘

不動産にまつわるお金ガイド

今回は、「収納代行」と呼ばれる、各区分所有者から徴収された管理費等がどのように収納・保管そして管理されているのかについてお話していきます。


ほとんどのマンション管理組合は、マンションの管理業務の全部をマンション管理会社に委託しています。その委託業務の中に、各区分所有者から管理費等を収納し管理するといった出納業務も含まれています。

しかし、管理会社に管理が委託されている修繕積立金等について、その預金口座名義人が管理会社となっていたことにより、その管理会社が倒産した時に、管理組合として集めた修繕積立金等が銀行に差し押さえられてしまった事例や、また、修繕積立金が管理会社に流用され、スッカラカンになってしまったという事例が過去に発生していました。


その対処策として、管理組合の修繕積立金等については、管理会社の自己の財産と分別して管理させることが重要であるという認識の下、管理組合の修繕積立金等の管理にあたっては、その預金口座名義人を管理会社ではなく管理組合の理事長にするよう行政指導がなされてきました。

これにより管理会社が管理する管理組合の財産の保全がなされ、管理会社との修繕積立金をめぐるトラブルがなくなったかというと、やはり依然として分別管理が徹底されていない事例が少なからず存在していました。


そのため、管理会社が管理する管理組合の財産の分別管理をより徹底するために、平成13年8月に施行された「マンション管理適正化法」において、財産の分別管理に関する規定が設けられました。

具体的な財産管理の方法としては、預金口座名義人については原則管理組合とし、管理会社による管理組合を名義人とする預金通帳と印鑑の同時保有も原則禁止とされました。


また、出納方式に関しては、下記の3種類が規定されました。

原則方式居住者から口座振替された管理費等を「管理組合」名義の収納口座(居住者から口座振替された管理費等をすべて集め、管理費・修繕積立金などに仕分けし決済するための口座)へ収納し、管理に要した費用を控除した残金を「管理組合」名義の保管口座(余剰管理費や修繕積立金を保管するための口座)へ移管する方式。
収納代行方式居住者から口座振替された管理費等を「管理会社」名義の収納口座へ収納し、管理に要した費用を控除した残金を1ヶ月以内に「管理組合」名義の保管口座へ移管する方式。管理業者は保管口座に係る通帳、印鑑のいずれかを保管することができる。
支払一任代行方式居住者から口座振替された管理費等を「管理組合」名義の収納口座へ収納し、管理に要した費用を控除した残金を1ヶ月以内に「管理組合」名義の保管口座へ移管する方式。管理業者は収納口座に係る通帳と印鑑を同時に保管し、保管口座に係る通帳、印鑑のいずれかを保管することができる。


ただし、収納代行方式と支払一任代行方式は、マンション管理会社が保証契約(管理を委託された修繕積立金等の支払保証に係る契約)を締結した場合に限り、預貯金通帳と印鑑の同時保有が認められることになっています。

法律により分別管理が規定され、これらに違反した管理会社は、国土交通大臣により、1年以内の業務の全部又は一部の停止命令のほか、情状が特に重いとき、又は業務停止命令に違反したときは、管理会社の登録が取り消されることになりました。

管理組合側としてはこれで一安心と思いたいものですが、数ヶ月前、修繕積立金を管理会社に使い込まれてしまったという残念な話が知り合いのマンションで起きてしまっています。毎月行われるべき収納に関する報告を管理会社に求めても何故かしぶると思っている間に使いこまれてしまったようです。幸い管理会社から返済の約束を取り付けることができたとのことですが、出納書類を確認する際は、預金通帳残高証明書の名義人がちゃんと管理組合名義になっているか等の内容を十分に確かめる必要があります。

修繕積立金等は、管理組合の大切な資産です。不動産投資の場合、外オーナーという一歩離れた立場になりがちですが、組合員の一人であることには変わりありません。管理費等の収納から保管までの流れにも十分留意することが大切です。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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