地域の気候風土にあった農産物
「八尾えだまめ」は、しっかり熟して実の張りがよく、甘味があるのが特長です。
画像提供/四季彩菜 みき
かつては結城さんの家の前も旧大和川が流れていたそうです。このような背景から、この地域は砂地で、渇きやすいけれど水はけがよく、良質のミネラルに富んでいます。
八尾市では、春からは若ゴボウを栽培し土地の栄養を吸い上げた後、やせた土地でも育つえだまめを初夏から栽培、豆の根粒菌で大気中の窒素が土中に固定化された後、窒素を求める葉物の菊菜を秋から春まで栽培するというサイクルになっています。「昔の人は科学的な分析をしたわけでもないのに、経験からうまく循環して農業を続ける方法を考えていますね」という結城さん。
また同じ豆を使い同じような栽培法で作っても、八尾で育つえだまめと、別の土地のものでは同じ味にはなりません。そのことこそが、各土地の気候風土が作る農産物の価値なのだと思います。
都市近郊の農業だからこそつなぎたい
八尾堆肥研究会では。栽培履歴をインターネットで公開しています。
都会的な利便性を享受しつつ、田畑が身近にあり自然の営みが感じられる環境は、近隣の子どもたちにとって、暮らしの中に溶け込んでいる農業の有り様を知り、また食べ物がどのように作られるのかを、自然と受け止めることにもつながります。
その気候風土に適した農産物の歴史、食文化を繋いでいきたい。そのためには、高品質で安全な農産物を作り、また田畑のある風景を残していくことに意味がある。これからの都市型農業の可能性を広げていきたい、と語る結城さんの人懐っこく穏やかな笑顔からは、強く熱い思いが伝わってきました。
取材協力/
ゆうき農園 結城拓也(八尾堆肥研究会)
ゆうき農園のえだまめが購入できるお店・サイト/
四季彩菜 みき
国立ファーム
一品一会
厳選食品 安心堂